2008 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体を用いた有機薄膜の新規な成膜法に関する研究
Project/Area Number |
19560320
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
坂本 哲夫 Kogakuin University, 工学部, 准教授 (20313067)
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Keywords | 結晶成長 / 電気・電子材料 / 超臨界流体 / 有機薄膜 / 発光素子 |
Research Abstract |
(1)多層有機薄膜の作製 H19年度に製作した装置を改良し、若干の減圧若しくは温度低下による析出を利用する堆積法と、急減圧による堆積の両方に対応した装置とした。本年度は主として急減圧による堆積の特性を検討した。超臨界流体と大気圧との差圧を保持する極細キャピラリーノズルの内径や温度、基板までの距離に応じて堆積物の様相が異なることが分かった。例えば、ノズル・基板間の距離が近い場合には数10μmを超える大きな有機結晶が得られ、結晶粒の大きさは距離が離れるにつれて小さくなった。これは基板上で結晶が成長していることを示すものである。本方法は溶媒として超臨界CO_2を用いているため、急減圧時には溶媒は瞬時に気化する。そのため、マスクを用いたパターニングや材料を変えた多層化が可能であり、これを実証した。但し、膜の平坦性や膜界面の急峻さについては今後改良の余地がある。 (2)有機発光素子の作製 実際の発光素子は発光層(有機層)を電極で挟んだ構造を有している。一方の電極は透明導電薄膜、もう一方は蒸着により金属膜を形成させることが多い。本研究では有機膜と同様に金属膜も超臨界流体を利用して成膜することを発案した。有機金属化合物(フェロセン)を用い、これが超臨界流体に溶解すること、および急減圧法により基板上に堆積することを確認することができた。
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