2009 Fiscal Year Annual Research Report
避難者の生活再建実感向上に向けた大震災時における応急的居住環境供給システムの提案
Project/Area Number |
19560617
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
阪田 弘一 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (30252597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 孝夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90107350)
高木 真人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (10314303)
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Keywords | 震災 / 応急居住 / 生活再建実感 / 移行プロセス / 避難 |
Research Abstract |
昨年度までの新潟県中越沖地震の発災後約1年までの間に応急居住を余儀なくされた柏崎市に居住する被災者への調査結果から、復旧期において生活再建実感の獲得に寄与するため以下のような支援の方向を見出した。 1) 被災者の生活再建実感に関わると考えられる各種指標の中で《住まい》《収入》の指標が大きな影響を及ぼすことから、空間・経済支援の充実が有効であること、 2) 長い応急居住を経てでも自宅修理・再建・取得が果たされるための経済支援を受けられること、 3) 無理に一カ所に留まるのではなく、少しでも住まいやすい居住先に移行するプロセスを選択できるような応急居住環境を構築すること、 4) 避難所、応急仮設住宅という従来からの収容施設の充実以上に、公営・民間の空き施設・住戸等を活用した多様な応急居住先を創出すること。 また上記提案に関連して、新潟県中越沖地震において関係者への調査を実施し、提案を遂行するうえでの具体的課題について検討を行った。その結果、 1) 災害復興住宅に関して行政および入居した被災者への調査から、被災者生活再建支援法改正などの充実が図られた現在の経済的居住支援策でも、特に高齢者世帯らが自宅修理・再建・取得を果たすには今だ十分ではない一方で、災害復興住宅建設には非常に高額のコストがかかっており、支援のバランスについて見直しの余地があること、 2) 高齢者の避難実態および要介護者らを受け入れるため当震災で導入された「福祉避難所」の使われ方の実態調査から、高齢者や要介護者に対応した応急居住支援に更なる改善が必要とされること、 3) 「木造仮設住宅」供給および木造仮設住宅の恒久住宅への転用という先駆的試みの実態調査から、同等のコストで従来型の鉄骨プレファブ製にはない居住性や汎用性の高さが認められたが特殊例に留まっており、多様な応急的居住環境を構築する上でこうした試みが普及するには、現行の仮設住宅供給計画の見直しが必要であること、などの課題を見出した。
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Research Products
(3 results)