2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者居住施設の火災安全に関する総合的調査と評価システムの開発研究
Project/Area Number |
19560626
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
志田 弘二 Nagoya City University, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (70196385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 歡 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (50059557)
八藤後 猛 日本大学, 工学部, 講師 (40287587)
村井 裕樹 広島工業大学, 環境学部, 助教 (30455563)
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Keywords | 火災安全 / 建築計画 / 高齢者居住施設 / 社会福祉 / 消防防災 / 認知症高齢者グループホーム / 特別養護老人ホーム / 老人保健施設 |
Research Abstract |
自力避難困難な高齢者が居住する施設を対象に実施したアンケート調査(認知症高齢者グループホーム約650施設、特別養護老人ホーム・老人保健施設合計約480施設)および実地調査の分析を進めた。予定していた火災事例統計データの入手が困難であったため、火災安全性を評価できる簡易なシステムの開発はまだ継続中である。研究期間中には認知症高齢者グループホーム火災による人的な被害が頻発しており、既存施設の火災安全性を改善するために調査結果等を有効に役立てたいと考えている。以下では認知症高齢者グループホームでの結果等を述べる。 内部廊下が避難困難な状態になった場合でも居室から屋外に円滑に通過可能でさらに安全な場所まで円滑に到達することが可能な経路が確保された施設は、10%から20%程度(設置階によってやや幅がある)と整備が不充分な実態が確認された。避難経路に設置されたドア・窓等の解錠が容易な方法であれば通過の円滑性を低下させないことが可能であるが、有効な方法と思われる自火報連動か手動遠隔の設置は約5%(居室から屋外)かち20%(階段出入口)とわずかであり、特に施錠箇所が多い居室で現地での手動での解錠が多く円滑な避難支援を妨げる可能性が高い実態が確認された。屋内階段の区画については、2階建ての施設では、階段を経由した火災拡大を制限する性能が確保されている場合と全く確保されていない場合に施設が両極化している実態が確認された。移動運動能力分類の構成比率は、自力で自由が最も多く約49%、次いで全面的な介助が約17%、自力の杖等が約17%、全面的な介助が約13%、自力で車いすが約4%、となる。いずれの分類も施設単位でのばらつきが大きい分布であった。また、1階は、避難支援負担が大きいが、居室から屋外へ及び屋外の避難経路の移動円滑性が2階・2階以上に比べれば良好なことで、避難の安全性を確保できていることが確認された。
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