2009 Fiscal Year Annual Research Report
初期ルネサンス建築理念と人文主義思想の関連性に関する研究
Project/Area Number |
19560653
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Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
石川 清 Aichi Sangyo University, 造形学部, 教授 (40193271)
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Keywords | 人文主義 / 初期ルネサンス / ブルネレスキ / フィレンツェ / 建築理念 / アルベルティ / ブルーニ / 都市条例 |
Research Abstract |
レオナルド・ブルーニは、その政治的著作の中で建築を政治の道具として用いている。フィレンツェ建築は、トスカーナ地方におけるフィレンツェの定められた政治的地位の象徴となったと考えられる。現実にフィレンツェの建設現場においても様々な革新と技術改革がいた。それらに相関があることは理解できても、その「暗箱」を解明することは困難であった。しかし、フィレンツェが古代の理想都市に値するのかという問いに対する彼らの探究に中で、人文主義者たちは建築に対する新しい認識を形成し始めたように建築家のデザイン改革の中にも同様の思想が潜んでいると考えられ、その様相が本年度の研究によってある程度解明できたと考えている。 13世紀以降フィレンツェの都市国家形成において、実際の都市整備は、特別な美的規範decorumによって秩序立てられたものでなければならなかった。アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を想起させるmagnificentiaの概念を国家の権威を直接的に表現する都市・建築空間として、都市の代表的な公共施設としての大聖堂と市庁舎、そしてそれを結ぶカルツァイウオーリ通りは、政府が規定したdecorumを市民建築のファサードに適用しようとした都市内最初の場所であり、美的規範decorumは、よき都市生活の基本概念として活気を与えるものであった。そのような都市形成の機運の中で、14世紀末から15世紀初頭の人文主義者で政治家であるコルッチョ・サルターティやレオナルド・ブルーニ周辺を取り上げて、彼らの言説に中に見出される都市・建築に関するに対する考え方を抽出し、それらを初期ルネサンス期の建築家ブルネレスキ、アルベルティ、ミケロッツォの実際の設計・理論に見られる理念と比較し、関連性を考察することが最終年度としての本研究の主眼であった。
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Research Products
(1 results)