Research Abstract |
本研究はSi薄膜トランジスタ(TFT)の活性層となるSi,Ge等の非晶質半導体薄膜の低温結晶化実現に関する.核形成・成長過程で大きなエネルギーを消費する核形成をレーザ・プラズマ軟X線(LPX)照射による溶融を伴わない準熱的プロセスで行い,成長を従来の熱的プロセスで可能な限り低温で行うと同時にその結晶化ダイナミクスを明らかにする事を目的とした.平成19年度,LPX照射+エキシマ・レーザ(ELA)照射による二段階結晶化プロセスを検討して,LPX照射がELAの結晶化臨界エネルギー密度を小さくするという結果を得た.しかし,擬似結晶核形成の機構解明には至らなかった. 当年度はELAに対する比較方法として原子状水素による二段階結晶化プロセスを検討する予定であったが,1.擬似結晶核形成機構解明を,更に,LPX光源のビーム強度が弱い事から,2.集光技術の開発を行った.1に関しては,Lpx照射により作製したSi薄膜を分光光度計による透過率測定,電子スピン共鳴(ESR),及び,エリプソメトリーによる測定を行い,透過率変化,スピン密度,及び,a-Si膜の相変化を明らかにした.その結果,a-Si薄膜表面層に低密度領域の微量結晶化膜が形成されており,且つ,不対結合電子対の密度が約1/2になる事が判明した.これは,現在の段階で擬似結晶核の形成を強く示唆するものと考えている.2に関しては,高輝度LPXを実現する為,集光レンズを開発中であり,その輝度増加は50倍程度になる事が計算・実験により明白になった.しかし,デブリ除去機構等に時間を要し,現在,引き続き検討中である. 近年,SiTFTを応用したフレキシブルディスプレイはSi層の貼り付け等を行っているが高コストであり,量産的製造方法とは考えられない.本方法の様に直接柔軟基板へのSiの結晶成長は低コストであり,将来,非常に有望である.
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