2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560709
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松村 義人 Tokai University, 工学部, 教授 (60239085)
|
Keywords | 磁歪感受率 / 磁歪材料 / 薄膜 / イオン / 運動量 / 鉄-IIIA族元素 / 過剰エネルギー / 過飽和固溶体 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までの研究を発展させ、超磁歪材料に比べ磁気弾性エネルギーの寄与が少ないニッケルのような通常の磁歪材料の薄膜に関して研究を行った。基板位置に設置したラングミュアプローブによりプラズマ特性の測定を行い、基板に入射するスパッタガスとしてのArイオンの運動量をパラメータとしてニッケル膜に発生する内部応力を評価した。その結果ニッケル膜においても超磁歪材料と同様、Arイオンの運動量と膜の内部応力の間に良い直線関係が得られることを明らかにした。この評価方法では従来の粒子のエネルギーを用いた評価方法と異なり、スパッタガス種に依存せず統一的に評価できる。この手法を用いると、Heのような異なるスパッタガス種で成膜した場合でも、粒子の運動量を制御することにより、磁歪感受率等の磁歪特性が容易に制御可能であることを示した。本研究において開発した手法は、磁歪感受率を含む薄膜の磁歪特性の設計を可能とするものである。また新しい磁歪材料として期待される、鉄-IIIA族元素の磁歪薄膜の研究において、イオンプレーティング法のようなプラズマプロセスを用いた場合、イオン衝撃によって導入された大きな過剰エネルギーを投入することができる。その際、形成された薄膜中に固溶限を超えた溶質原子が鉄中に固溶した過飽和固溶体が作製可能なことを明らかにした。本年度においてはFe-Mg系のような固溶度を持たない系においても、プラズマプロセスの利用により固溶体を作製できることを明らかにした。
|