2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的に分化した集団の再会合による染色体変異の誘起
Project/Area Number |
19570093
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
原田 正史 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (20117964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 彰朗 島根県立大学, 短期大学部, 教授 (10212664)
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Keywords | 遺伝的分化 / 再会合 / 地理的変異 / 染色体変異の誘起 / ニホンジカ |
Research Abstract |
日本列島はアジア大陸に近接しているため、氷河期における海水面の上下変動によってしばしば大陸と接続および分離を繰り返してきた。大陸との接続時には多くの動物が侵入し、その後再び日本列島の島興化が成立すると、それらは孤立個体群となって特有の進化をとげてきたものと考えられる。しかし、大陸との接続および分離の過程において、亜種レベルに分化した集団が最侵入し、二つの集団が再会合することにより新たな遺伝的集団を形成することにより遺伝的不安定化が起こる。これが染色体変異を引き起こすことを発見した。 これまでの調査で日本列島に生息するニホンジカには染色体変異から北タイプ、中国タイプ、九州タイプの3タイプがあり、それぞれの集団の境界では交雑がみられることを明らかにしてきた。 平成20年度は兵庫県淡路島産ニホンジカ36頭を分析し、淡路島集団が北タイプであることを明らかにした。また、長崎県五島列島産ニホンジカでは中国タイプから新たな染色体融合が生じ、新しい核型を持つ特異的な集団を形成している。そこで中通島産20個体,福江島産5個体を分析した。その結果、中国タイプと新しい核型のハイプリッド個体3、五島列島タイプ22頭であることが明らかとなった。このことはニホンジカの染色体多型が中国タイプから九州タイプおよび五島タイプが分派したことを支持する資料となった。
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Research Products
(1 results)