2009 Fiscal Year Annual Research Report
四肢再生とレンズ再生に共通する再生開始の初期メカニズムの解明
Project/Area Number |
19570211
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
芋川 浩 Fukuoka Prefectural University, 看護学部, 准教授 (90373274)
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Keywords | 発生・分化 / レンズ再生 / 四肢再生 / 再生開始メカニズム / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究は、四肢(手足)や眼球内のレンズを再生できる唯一の脊椎動物であるイモリを用いて、再生開始の分子メカニズムを解明しようというものである。これまでの我々の研究結果により、脊椎動物の四肢再生とレンズ再生は共通の分子メカニズムにより引き起こされることが予想され、その仮説に基づいて遺伝子レベルだけではなく、組織・細胞レベルで再生開始の初期メカニズムを解明しようとしている。この研究成果は、今後iPS細胞による再生医療の発展にも大きく貢献できるものと期待できる。 平成21年度は、平成20年度に続き、再生開始を直接誘導する可能性の高い未知のレセプター様分子と、血液凝固因子唯一の膜蛋白である「組織因子」と呼ばれる分子の全長cDNAのクローニングを行うとともに、その分子の発現パターンをin situ hybridization法やreal time PCR法で解析を進めた。完全長に近く、全翻訳領域を含むcDNAが得られたので、RACEによるさらなる伸長を進め、完全長のものを得るように解析を進めた。さらに発現パターンをin situ hybridization法などで解析しているが、細胞内での発現量がすくなく、また明瞭な発現パターンの記述できることまでにはいたっていないが、PCRによる解析により再生上皮に発現していることがわかった。この点についても発現感度の向上と昨年度より進めている抗体染色によりさらに明確にできればよいと考えている。 今年度全翻訳領域を含むcDNAが得られたので、分子の構造解析、発現解析、機能解析により、再生開始の初期段階との関連性の解析をさらに進められるものと期待できる。また、本分子は依然として既知分子との相同性がないが、上皮に発現していることから、本研究の成果を応用すれば、iPS細胞を使用しなくても、マウスやヒトで再生開始を誘導できる可能性もありうると考えている。
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