2008 Fiscal Year Annual Research Report
収穫に伴う過敏感反応のシグナル伝達と発生機構の解明による新規切り花花卉の開発
Project/Area Number |
19580027
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
土井 元章 Shinshu University, 農学部, 教授 (40164090)
|
Keywords | カンナ / 切断 / クロロフィル蛍光 / 量子収率 / 褐変障害 / 光酸素ストレス |
Research Abstract |
カンナCanna indica hybrid'バターカップ'を用い、葉の収穫に伴う過敏感反応の諸特性を把握するとともに、障害発生の制御方法について検討した。収穫前後のカンナ葉において、PSII由来のクロロフィル蛍光を測定した。日中の収穫時点で若齢葉、加齢葉ともに0.63と量子収率(Fv/Fm)が非常に低かった。収穫後量子収率は0.74前後まで上昇し、褐変障害の発生がみられない若齢葉ではその後も徐々に上昇したが、加齢葉においては3時間目に量子収率の急激な低下がみられ、褐変障害が発生し始めた。日の出前の収穫においては、収穫時点の量子収率がいずれの齢の葉でも0.82と比較的高く、収穫後3時間目までほぼ一定で推移し、この時点までに褐変障害の発生はみられなかった。収穫前に葉鞘のみを切断しても葉身の巻込みは軽度であったが、1時間後に茎を完全に切断すると葉身の巻込みおよび褐変障害が激しく発生した。収穫位置より下の茎部と葉身をコンデンサで接続してから収穫したところ、葉身の巻込みを抑制することができたが、褐変障害の発生を抑えることはできなかった。また、収穫後の1%アスコルビン酸溶液への浸漬処理によって、巻込みおよび褐変障害を回避することはできなかった。さらに、切断に対する感受性を弱める目的で、低カルシウム濃度の培養液を用いて栽培しても、収穫に伴う葉身の巻込みおよび褐変障害は防止できなかった。これらの実験結果から、葉を完全に植物体から切り離すことで切断刺激が電気的に葉身に伝わって巻込みを引き起こすこと、その後量子収率の低下に伴って光酸素ストレスによる褐変障害が発生することが示された。
|
Research Products
(1 results)