2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルジ膜構造体の構築・維持機構のケミカルバイオロジー的解析
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19580098
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高月 昭 Hosei University, 生命科学部, 教授 (80011972)
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Keywords | ゴルジ装置 / ケミカルバイオロジー / 中心体 / 微小管 / 膜ダイナミクス / ブレフェルジンA / 膜構造体 / ヌクリエーション |
Research Abstract |
当該年度までの結果に基づき報告されている作用を絞り込んだ化学物質を対象にしてゴルジ膜構造体ダイナミクス作用物質の探索を行い,新規な作用を有する化学物質を選出することができた。既に選択している化学物質と併せてゴルジ膜構造体ダイナミクスへの作用を解析した。ゴルジ膜構造の維持については,ブレフェルジンAやノコダゾールによる膜構造破壊に及ぼす作用を追跡することで解析した。その結果,ゴルジ膜構造破壊抑制物質は,ブレフェルジンAあるいはノコダゾールの破壊作用を抑制するものと両者の作用を抑制するものの3群に分類された。両者の作用を抑制する化学物質が中心体に作用することを微小管ヌクリエーション活性の昂進で確認した。更に,ゴルジ膜構造破壊抑制作用の強い化学物質の一部についてゴルジ膜構造のヌクリエーションも昂進されることを認めた。これら作用の機構について手掛かりを得る目的で,化学物質の既知の作用に基づいて回復物質の探索に着手した。部分的に回付させる物質を見いだしたので,更に強力な回復物質の探索を続ける。ゴルジ膜構造体破壊においてゴルジマーカー蛋白質問で感受性が異なることを見いだしたので,各種マーカー蛋白質の感受性について詳細な検討を行い,ゴルジ膜構造の破壊には順序があることを見いだした。即ち,ゴルジ膜の表在性マーカー蛋白質の方が内在性マーカー蛋白質よりも感受性が高いこと,また,シス槽局在マーカー蛋白質が最も感受性が高く,次いでメディアル槽,トランスゴルジ網の順に膜構造が破壊される結果を得た。また,ゴルジ膜構造体の再構築に及ぼす作用についても選出した化学物質を用いて検討した。ゴルジ膜構造破壊のような順序ある再構築を明らかにするには至っていないが,中心体を取り囲む膜構造体が最初に形成された後に槽状構造が形成されることを見いだした。
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