2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の細菌感染に伴う抗酸化酵素の応答機構の解明-細胞生物学的アプローチ-
Project/Area Number |
19580236
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長富 潔 Nagasaki University, 水産学部, 教授 (40253702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 達也 長崎大学, 水産学部, 教授 (60145307)
原 研治 長崎大学, 水産学部, 教授 (10039737)
橘 勝康 長崎大学, 水産学部, 教授 (20171712)
金井 欣也 長崎大学, 水産学部, 教授 (40145222)
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Keywords | 抗酸化酵素 / 活性酸素 / 魚病細菌 / 酸化ストレス / 培養細胞系 / クローニング / 遺伝子構造 |
Research Abstract |
本研究では、分子生物学的手法を用い、活性酸素代謝において律速酵素として働くSOD、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)及び誘導型NO合成酵素(iNOS)等の抗酸化酵素遺伝子の構造解析をすること、次いでヒラメ腹腔マクロファージの初代培養系で細胞生物学的手法を用い、Edwardsiella tarda(E.tarda)感染に伴う酸化ストレスに対する抗酸化酵素の応答機構を明らかにすることを目的としている。 本年度は、先ずヒラメCu,Zn-SOD及びMn-SODの翻訳領域に相当する部分の遺伝子構造が共に5個のエキソンと4個のイントロンにより構成されていることを明らかにした。ほ乳類の両SODと比較すると各イントロンの挿入箇所は概ね一致していた。更に、ヒラメ両SODの遺伝情報に基づいてプライマーを作成し、リアルタイムPCRによるSODmRNAの定量法の条件検討を行った。次いで、ヒラメ腹腔マクロファージにE.tardaの強毒株、もしくは弱毒株を暴露し、マクロファージ内の両菌株の生存率はコロニー形成法により、マクロファージの活性酸素種(ROS,主にO^-_2)放出は化学発光法を用いて調べた。その結果、マクロファージ内のE.tardaの生存率を比較すると強毒株のみ生菌数の増加が見られ細胞内増殖能を有していることを確認した。一方、弱毒株暴露によって強いROSの放出が見られたが、強毒株ではほとんど見られなかった。また、E.tarda強毒株をマクロファージに暴露後、活性酸素誘発物質であるPMAの刺激により顕著なROSの放出を確認した。以上の結果より、強毒株はマクロファージのROS放出を阻害し、ROSによる殺菌に対して抵抗性を持つ可能性があり、E.tardaはヒラメ腹腔内マクロファージの酸素依存性殺菌機構に深く関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)