2008 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中におけるコロイド粒子の輸送時間及び起源推定手法の開発
Project/Area Number |
19580389
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
江口 定夫 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 物質循環研究領域, 主任研究員 (30354020)
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Keywords | コロイド粒子 / 放射性元素 / 難溶性環境負荷物質 / 半減期 / ベリリウム7 / 鉛210 / セシウム137 / 大気降下物 |
Research Abstract |
今年度は,圃場条件下におけるコロイド粒子の輸送時間及び起源を推定する上で,研究の画期的な進展があった。即ち,重粘土質の水田転換畑(新潟県)において,降雨中〜直後の期間を対象として圃場からの表面排水及び暗渠排水を経時的に採取し(1回当り20Lずつ),それらに含まれる懸濁態及び溶存態の7Be,137Cs及び210Pb濃度を測定したところ,懸濁態物質(粒径>0.025μm)中にはこれらの放射性元素がいずれも高いレベルで検出されること,逆に溶存態(孔径0.025μmのメンブレンフィルター通過画分を全て蒸発乾固したもの)としては存在しない(ピークが検出されない)ことを見出した。また,試料水を孔径0.1μmで濾過した場合,濾液中には7Beが僅かに検出されるが,孔径0.025μm通過画分には検出されないことから,孔径0.1μm通過画分に含まれる7Beは溶存態ではないことが明らかとなった。これらの結果より,本研究の主題であるコロイド粒子の起源及び輸送時間の推定は,これらの放射性元素濃度に基づき実施できること((1)これらの放射性元素は懸濁態としてのみ土壌中を移動する,(2)暗渠排水中のコロイド粒子の主体あるいは少なくとも一部は表層土壌に由来する,(3)地表面から暗渠排出口までのコロイド粒子の平均輸送時間はおよそ数ヶ月程度以内の比較的短いものである)が明らかとなった。砂質の堆肥連用野菜畑圃場(愛知県)については,大雨後を対象に,深さ60cmに設置した埋設型ライシメータによって浸透水(1回当り20L)を採取し,懸濁態及び溶存態のこれらの放射性元素濃度を測定したところ,いずれの放射性元素も検出限界以下だった。このことは,懸濁態物質の主体が粘土粒子ではなく,これらの放射性元素が吸着しにくい有機物であることを示唆するが,高濃度の40Kが共存したことによる検出感度低下の可能性もあり,今後さらに検討する。
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Research Products
(4 results)