2007 Fiscal Year Annual Research Report
マクロスフェライドを基盤とする新規抗癌剤の創製を目指した分子設計、合成、活性評価
Project/Area Number |
19590098
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松谷 裕二 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (50255858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 英雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (60006351)
近藤 隆 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (40143937)
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Keywords | 合成化学 / 癌 / 生理活性 / 有機化学 |
Research Abstract |
天然物マクロスフェライドを基盤とした新規抗癌性医薬品探索を目的として、マクロスフェライドの16員環基本骨格に、抗腫瘍性天然物であるエポチロン類のチアゾール側鎖を組み込んだ人工ハイブリッド化合物を設計し、合成研究に着手した。その結果、閉環メタセシスをマクロ環構築の鍵段階として、高効率的に6種の新規ハイブリッド化合物の合成に成功した。それに加え、チアゾール環の代わりにヒリジン環を有する側鎖を組み込んだハイブリッド2種の合成も行った。これらについて、ヒトリンバ腫細胞に対するアポトーシス誘導活性を天然型のマクロスフェライドと比較したところ、いくつかのハイブリッド化合物について顕著な活性の増強が認められた。アポトーシス誘導メカニズムについて調査すべく、いくつかの生物実験を行ったところ、細胞内活性酸素種の関与が示唆された。すなわち、薬物処理後の細胞内過酸化水素増大効果が確認され、これは抗酸化物質であるN-アセチルシステインによって抑制されることが明らかとなった。更にいくつかの検討結果、本アポトーシス誘導活性にはFas/caspase-ミトコンドリア経路とカルシウムイオン依存性経路の関与が示唆された。また、これらマクロスフェライド誘導体は、緩和な温熱併用によってアポトーシス誘導活性が顕著に増強されることも、明らかとすることができた。以上のように、エポチロンとのハイブリッド化により、高活性な新規マクロスフェライド誘導体を見出すことに成功した。
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