Research Abstract |
1.(1)ヒトTRAILレセプターRl,R2,R3,R4に対する各モノクローナル抗体の作製を試みた.(2)得られたモノクローナル抗体で,各レセプターのトランスフェクタントを固定して免疫染色したが,その結果が未固定のトランスフェクタントのフローサイトメトリー(FACS)の結果と一致せず,今後予定している,固定した細胞での局在の解析には適さなかった. 2.(1)市販の抗体で,4種の抗体が揃っている2社のポリクローナル抗体とモノクローナル抗体について,FACS・ウェスタンブロット・免疫染色を行い,特異性が高く,分子局在の検索に使用可能と考えられる抗体を選んだ. 3.(1)TRAIL感受性の異なる2種の腫瘍細胞株ついて,固定と未固定でのFACS解析を行った.その結果,いずれの細胞でもアポトーシスを誘導するTRAILレセプターR1,R2が,細胞膜と同程度に細胞内にも存在していることが明らかになった.アポトーシス非誘導性のR3,R4は,細胞膜にはほとんど発現せず,R4のみで細胞内に検出された.(2)腫瘍細胞を用いて,ゴルジ体またはライソゾームとの免疫二重染色を行い,核も含めた3カラーで標識して,レーザー走査型顕微鏡で観察した.その結果,最も発現量の多いR2は,主に核内に検出された.R4も核内に検出された他,ゴルジ体とライソゾームとは異なる細胞質に局在していた.R1は主に細胞質に検出され,R3は発現量が少なかった.(3)免疫電顕で,核以外の細胞質に存在するレセプターの局在を調べ,小胞体に金コロイドの集積を認めた.これらの結果を踏まえ,特に腫瘍細胞の核内に多量に存在するR2に着目して,これを細胞膜に局在させることで,腫瘍細胞のTRAIL受性を高めてアポトーシスによる細胞死を誘導できないか,を中心に,今後検討したい.
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