2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現プロファイルによる肥満モデル動物に対する代謝改善薬の効果の解析
Project/Area Number |
19590531
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
今井 順一 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (70376739)
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Keywords | 肥満 / 生活習慣病 / 動物モデル / メタボリックシンドローム / 遺伝子発現プロファイル |
Research Abstract |
肥満は「生活習慣病」の根幹をなす病態であり、特に内臓脂肪蓄積型肥満は「メタボリックシンドローム」とも呼ばれ、大きな社会問題となっている。しかし、肥満の効果的な治療および予防に関する科学的な知見は未だ十分とは言えない。そこで、本研究ではまず、肥満動物モデルを作製して肥満によって生じる肝臓での遺伝子発現レベルの変化を検証することにより、肥満のメカニズムや治療・予防の評価指標の確立を目指すこととした。 最初に、高脂肪餌を長期間(4週間〜12週間)与えたラット(以下、「高脂肪餌ラット」と呼ぶ)と通常餌を与えたラット(以下、「通常餌ラット」と呼ぶ)を作製して、血液生化学検査を行ったところ、高脂肪餌ラットは通常餌ラットと比較して、GOT値、GPT値、T-CHO値が有意に上昇していた。また、高脂肪餌ラットは剖検の結果、肝臓における脂肪沈着を確認した。したがって、本動物モデルは内臓脂肪蓄積型の肥満モデルとして使用できると考えた。 次に、本研究で作製した肥満モデルである高脂肪餌ラットおよび通常餌ラットから肝臓を採材し、DNAマイクロアレイを使用して遺伝子発現プロファイル(約11,000遺伝子)を取得した。取得したプロファイルをもとにしてクラスタ分析を行ったところ、高脂肪餌ラット群と通常餌ラット群が2群に大きく分かれた。このことは、両群の肝臓における遺伝子発現が大きく異なっており、肥満に伴って遺伝子発現の変化が生じていることを示している。さらに、両群の間で有意差(p<0.001)のある遺伝子群をt検定により抽出したところ、265遺伝子が特定できた。 本研究で特定した265遺伝子は、肥満のメカニズムの解明をはじめ、肥満治療薬や予防薬のターゲット候補遺伝子として応用できる可能性がある。
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Research Products
(5 results)