2007 Fiscal Year Annual Research Report
II型糖原病のための新生児スクリーニング法ならびに化学シャペロン療法の分子基盤
Project/Area Number |
19590563
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥宮 敏可 Kumamoto University, 医学部, 准教授 (50284435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚瀬 純男 熊本大学, 医学部, 教授 (20112401)
櫻庭 均 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60114493)
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Keywords | リソソーム病 / ポンペ病 / II型糖原病 / 酸性α-グルコシダーゼ / 酸性マルターゼ / 新生児マススクリーニング / 血液濾紙 / アカルボース |
Research Abstract |
ポンペ病(II型糖原病)は、酸性α-グルコシダーゼ(AαGlu)の遺伝的欠損に起因した常染色体性劣性遺伝病である。昨年、本症に対する根治療法として酵素補充療法が承認されたことから、血液試料による簡便で信頼性の高い早期診断法の確立が求められている。そこで、本年度は、血液濾紙を用いた新生児マススクリーニング法の開発を中心に実験研究を行った。様々な測定条件を検討した結果、反応系に干渉酵素の阻害剤であるアカルボースを3.0μM共存させることで、血液濾紙抽出液中に存在する極めて微量のAαGlu活性を特異的に定量することが可能となった。本法を用いて、日本人健常者由来の血液濾紙を測定したところ、健常者の約4%に当該酵素活性の軽度低下が認められた。この健常低活性群の一部は、ポンペ病のAαGlu活性幅の上限よりも低いことから、本症の診断に直接影響を与えるごとが予想された。また、この健常低活性群は欧米人(白人)には認められないことから、日本人(あるいはアジア系人種)におけるAαGlu遺伝子上の固有の多型が関与しているものと考えられた。そこで、AαGlu遺伝子上に認められる日本人固有の単塩基多型(SNP)とAαGlu活性の関連性を解析するため、血液濾紙からのゲノム抽出方法、ならびに抽出されたゲノムDNAを用いたAαGlu遺伝子上の SNP 解析法の開発を試み、血液濾紙由来の直径約3mmの円形ディスク1枚を用いたSNP解析法を確立した。現在、この方法を用いてAαGlu 遺伝子多型を解析し、当該酵素活性との関連性を解析している。細胞内における変異酵素に対する化学シャペロンの効果に関しては、今年度はインビトロミュータジェネーシスにより20種類のミスセンス変異酵素を発現する発現コンストラクトを構築した。現在、これらのミュータント酵素に対する化学シャペロン候補化合物(ノジリマイシン誘導体)の効果を細胞生物学的手法を用いて解析している。
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Research Products
(3 results)