2008 Fiscal Year Annual Research Report
II型糖原病のための新生児スクリーニング法ならびに化学シャペロン療法の分子基盤
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19590563
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥宮 敏可 Kumamoto University, 医学部, 准教授 (50284435)
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Keywords | リソソーム病 / ポンペ病 / II型糖原病 / 酸性α-グルコシダーゼ / 酸性マルターゼ / 新生児マススクリーニング / 血液濾紙 / アカルボース |
Research Abstract |
平成19年4月、II型糖原病(ポンペ病)に対する酵素補充療法が承認され、現在、積極的な治療が行われている。昨年度、患児の早期診断を目的として、血液濾紙を用いた酸性α-グルコシダーゼ活性測定法を確立するとともに血液濾紙からのゲノムDNA抽出法ならびにアジア人固有の2つの遺伝子多型(c.1726G>Aとc.2065G>A)の解析法を確立し、日本人においては健常者の約4%に当該酵素活性の低下するグループが存在することを明らかにした。今年度は、2つの遺伝子多型から構成されるハプロタイプならびにディプロタイプと当該酵素活性との関係について解析を行った。その結果、日本人においては、3種類のハプロタイプ(GG、AA、GA;前方がc.1726の塩基を、後方がc.2065の塩基を示す)ならびに6種類のディプロタイプ(GG/GG、GG/AA、AA/AA、GG/GA、GA/GA、GA/AA)が存在することが明らかとなった。また、日本人の約4%に認められた低活性グループのほとんどはAA/AAのホモ接合体であり、その内の約14%(全体の0.56%)の活性値は患者の活性領域に存在することが判明した。現在、AA/AAホモ接合体と患者を鑑別できる新たな測定系の確立を目指し、研究を進めている。 細胞内における変異酵素に対する化学シャペロンの効果に関しては、昨年度はインビトロミュータジェネーシスにより20種類のミスセンス変異酵素を発現する発現コンストラクトを構築し、化学シャペロン候補化合物の効果を解析したが、今年度は更に発現コンストラクトを追加するとともに変異酵素の細胞内分解とERストレスと関連性についても解析を行っている。
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