2010 Fiscal Year Annual Research Report
II型糖原病のための新生児スクリーニング法ならびに化学シャペロン療法の分子基盤
Project/Area Number |
19590563
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥宮 敏可 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (50284435)
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Keywords | リソソーム病 / ポンペ病 / II型糖原病 / 酸性α-グルコシダーゼ / 酸性マルターゼ / 新生児マススクリーニング / 血液濾紙 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
ポンペ病(II型糖原病)は、酸性α-グルコシダーゼ(AαGlu)の遺伝的欠損に起因した常染色体性劣性遺伝病であり、心・骨格筋、肝臓を中心に大量のグリコーゲンが蓄積し、様々な症状を来す。本症に対する根治療法として酵素補充療法が承認されたことから、信頼性の高い早期診断法が求められている。一方、アジア人には約4%の頻度で、固有の遺伝子多型(塩基番号c.1726G→Aおよびc.2065G→A)のホモ接合体(AAホモ接合体)が存在し、その活性が低いことから患者群との識別が困難であった。平成22年度は、この問題を解決するために酵素反応液中に共存するヘモグロビンの影響を解析するとともにその回避方法を検討した。その結果、水酸化バリウム溶液と硫酸亜鉛溶液を用いることで、酵素反応溶液から効率よくヘモグロビンを除去することが可能であることが判明した。この技術を血液濾紙に応用し、新しい新生児スクリーニング法(Ba/Zn法)を確立した(Mol Gnet Metab 2011, in press)。従来まで患者群とAAホモ接合体の活性値は約16%が重なったが、Ba/Zn法では両群で重なるものに認められなかった。 患者から同定された変異酵素の発現コンストラクトを用いて、化学ジャペロンNB-DNJの効果を検討したところ、変異酵素40例中13例(約30%)が明らかな活性上昇効果を示した。しかし、粗面小胞体関連分解(ERAD)に関与するプロテオソーム阻害剤MG132の添加では活性上昇は4例のみに認められた。NB-DNJで顕著な活性上昇が認められた数例の変異酵素に関して、患者由来の皮膚線維芽細胞を用いて細胞内のプロセシングや細胞内局在を調べた。その結果、これらの変異酵素は、NB-DNJの存在により細胞内でのプロセシングならびにリソソームへの細胞内輸送が正常化していた。現在、ERシャペロンとの関連性を調べるため、ERでの蛋白質ホールディングに関与するカルネキシンとのインターラクションについて解析している。
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Research Products
(6 results)