2008 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷・新生児等の脆弱脳に対する自動浮遊固定装置の開発に関する法医病理学的研究
Project/Area Number |
19590665
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
黒田 直人 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (40161799)
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Keywords | 脳固定 / 脳病理 / 小児脳 / 頭部外傷 |
Research Abstract |
前年度に引き続き, 脳浮遊摘出ならびに固定装置の使用による, 酢酸加固定溶液による全脳固定法について, その組織学的染色成績の検討を主に研究を進め, 本年度の研究成績として, 次のような具体的知見を得た. (1) 10%ホルマリン固定液に氷酢酸液添加による方法では氷酢酸量が多くなり, 希釈による固定遅延を生ずるため, 20%ホルマリン(通常は法医解剖には適さない)とすることが妥当と考えられた. (2) 20%ホルマリンに0.85%塩化ナトリウムを添加することにより, 脳の腫大(通常10%内外のところが氷酢酸添加で20%近くになる)による重量増加を低下させることが示された. (3) 全脳浮遊に必要な固定液の比重は1,021〜1,031であり, この値は時間経過とともに増加する傾向がみられた. (4) 氷酢酸添加により最も懸念される固定液の液性については, [20%等張ホルマリン(NaCl添加)+氷酢酸 : 比重1,031]の固定液でもpH2.39であり(氷酢酸無添加20%等張ホルマリン : 比重1,000ではpH3.61)であることから考えて, 実際の組織染色性についても影響はほとんどなく, 液性による影響は最小限度に抑えられる可能性が示唆された. (5) 脳洗浄は, 全脳のまま151の生理食塩水2回に浸漬することにより, 脳割検査時の刺激性を著しく低減することが可能であった. これらの結果は, 剖検時の全脳固定を容易とし, 本研究の目的である「外傷例や乳児脳など脆弱脳の形態を忠実に保存すること」が日常的な設備と低廉な材料によって可能であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)