2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷・新生児等の脆弱脳に対する自動浮遊固定装置の開発に関する法医病理学的研究
Project/Area Number |
19590665
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
黒田 直人 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161799)
|
Keywords | 脳固定 / 脳病理 / 小児脳 / 頭部外傷 |
Research Abstract |
本研究の目的は,1)乳児や頭蓋内損傷や出血を伴った脆弱な脳の丁寧な摘出が可能となるよう,水中摘出法による剖検用バケットを開発すること,2)氷酢酸添加法による比重調整を応用した脳浮遊固定装置を開発すること,および,3)これら1),2)の新手法が種々の脳組織染色法(種々の免疫染色法を含む)に与える影響を詳しく考察すること,の3点であった. 平成19~21年度の成果を踏まえて実施した本研究の平成22年度の成果として,氷酢酸添加により強い酸性固定液(最大pH2.39)となった脳の組織標本において,通常のHematoxylin & Eosin染色のみならず,免疫染色において影響が生じるか否かを検討し,その影響は,実際に染色を試みた一次抗体(ニューロフィラメント(SMI-31)および星状膠細胞マーカー(GAFP))を用いたものについては,ほとんど影響を生じないことが示された. これらの結果は,剖検時の全脳固定を容易とし,本研究の目的である「外傷例や乳児脳など脆弱脳の形態を忠実に保存すること」が可能となったことを示している.本法における特記事項として,氷酢酸の引火性および金属器具の腐食性が,基本的ではあるが重要な注意点であり,これを実施者が適切に留意すれば,日常的な設備と低廉な材料だけによって,本研究の目的とした脆弱脳組織作成のルーチン化が可能であることが示唆された.
|
Research Products
(1 results)