ヘリコバクターピロリ感染症の病態機構解明と耐性菌に対する代替療法の開発

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19590696
• Research Institution: Kyoto Prefectural University of Medicine
• Principal Investigator: 喜多 正和 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 准教授 (60153087)
• Keywords: ヘリコバクター / 耐性菌 / 漢方薬 / サイトカイン / 代替療法

Research Abstract

薬剤耐性H.pyloriに有効な新しい補完・代替療法として可能性が考えられる漢方薬(生薬)の抗菌作用の機構解明のため、薬剤耐性H.pylori菌株に対する直接作用と生体の免疫系を介する間接作用に分け、その抗菌作用を解析した。前年度in vitroにおいて強い抗菌効果が認められた生薬である大黄、黄連、菌陳蒿、丁子、甘草をH.pyloriを感染させたマウスに2週間投与した結果、in vivoにおいても同様の抗菌効果が認められた。しかしながら、短期間の投与では完全な除菌効果が得られなかったため、引き続き長期治療実験を実施している。一方、H.pylori感染症における病態形成機序の解明に関して、今年度はH.pylori感染症におけるIL-17の役割を明らかにするため、IL-17遺伝子欠損マウスを用いて検討した。その結果、IL-17遺伝子欠損マウスにおいては、H.pylori感染6ヵ月後でも胃粘膜にほとんど炎症病変が認められなかった。また、炎症浸潤細胞の中でも好中球浸潤だけが有意に抑制され、感染局所のミエロペルオロシダーゼ活性が有意に低下していたことより、IL-17の欠損により好中球の浸潤が抑制された結果、炎症反応が抑制されていると考えられた。以上の結果、H.pylori感染症においては、従来知られていたTh1サイトカインに加え、新規に発見された炎症性サイトカインであるIL-47も胃炎の発症に重要な役割を果たしていることが示唆された。

Research Products

• [Journal Article] Levels of interleukin- 18 are markedly increased in Helicobacter pylori-infected gastric mucosa among patients with specific IL18 genotypes (2008)
  • Author(s): Sakai K, Kite M, Sawai N, Shiomi S, Sumida Y, Kanemasa K, Mitsufuji S, Imanishi J, Yamaoka Y.
  • Journal Title: J Infect Dis. 197 Pages: 1752-1761
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] IL-17 is involved in Helicobacter pylori-Induced Gastric Inflammatory Responses in a Mouse Model (2008)
  • Author(s): Shiomi S, Toriie A, Imamura S, Konishi H, Mitsufuji S, Iwakura Y, Yamaokd Y, Ota H, Yamamoto T, Imanishi J, Kita M
  • Journal Title: Helicobacter 57 Pages: 518-524
  • Peer Reviewed
• [Presentation] ヘリコバクターピロリ誘発胃炎マウスモデルにおけるIL-17の役割 (2008)
  • Author(s): 喜多正和、塩見聡、今西二郎
  • Organizer: 日本実験動物学会
  • Place of Presentation: 仙台
  • Year and Date: 2008-05-17