2008 Fiscal Year Annual Research Report
『車椅子エコノミークラス症候群』の実態調査とその予防対策
Project/Area Number |
19590705
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
木村 文治 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (90204990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 創介 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80233253)
杉野 正一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50216321)
石田 志門 大阪医科大学, 医学部, 助教 (50388253)
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Keywords | DVT / WHEELCHAIR / PARKINSON DISEASE / EDEMA / BNP |
Research Abstract |
運動障害をきたすパーキンソン病における下肢深部静脈血栓症(DVT)について検討した。Parkinson病(PD)患者の非運動症状の一つとして浮腫が高頻度に認められる。浮腫の原因として運動障害以外に多くの全身性因子(心、肝、腎、甲状腺、低蛋白など)が関与する。また、一部の抗パーキンソン病薬(アマンタジン、プラミペキソールカベルゴリンなど)が浮腫の発現に関わるとされる。一方、肺塞栓はPD患者の重要な死因の一つであることから、その原因となる下肢深部静脈血栓(DVT)の有無について検証する必要がある。本検討では、明らかな浮腫を引き起こす全身性疾患を有さない外来通院中PD患者における下腿浮腫と臨床症状、DVTおよび姿勢異常との関連性について検討した。外来通院中PD患者124例の中で心、肝、腎、甲状腺、低蛋白(<3g/1)および浮腫をきたす可能性がある薬剤投与(フロリネフ、プレドニゾロン、アクトスなど)等を省いた109名について検討した。下肢深部静脈血栓(DVT)についてはALOKA社製超音波を使用した(Prosoundα-10;表在用probel-15メガヘルツ)。コントロールはその他神経疾患(other neurological disease=OND,脳梗塞後遺症、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、頭痛、めまいなど)82例である。PDにおける浮腫の頻度は56例(51.4%)とコントロール群(12.2%)に比し有意に多かった。浮腫陽性群は高齢者に多く重症になるほど多くBNPの上昇を認めた。PDの浮腫と抗パ剤服用状況との関連では麦角・非麦角系アゴニストを含めていずれの薬剤にも差は認めなかった。DVTは19.2%に認められたが浮腫の有無とは関連なかった。いずれもPOPLITEAL VEINより末梢側に認められたが、観察期間中肺塞栓はなかった。DVT陽性群と陰性群では重症度・年齢・罹病期間・BMI・BNPいずれにも差がなかった。補助具使用と姿勢異常について検討した結果、車椅子使用は下腿浮腫と、膝曲がりはDVTと有意に相関した。PDにおける膝曲がりはDVT発症のリスクファクターの一つである。
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Research Products
(21 results)