2007 Fiscal Year Annual Research Report
前庭部胃炎と体部胃炎の差を規定するヘリコバクター・ピロリ菌および宿主因子の同定
Project/Area Number |
19590719
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 義幸 University of Fukui, 医学部 附属病院, 講師 (60313748)
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Keywords | Helicobacter pylori / 胃炎 / DNAサブトラクション法 / 胃癌 |
Research Abstract |
平成19年度は体部胃炎と前庭部胃炎の差を規定する因子の同定を第一の目標とした。 【DNAサブトラクションによる方法(1):遺伝子的に均一な日本株を用いた検討】 既知の病原因子が同一な日本の菌株から、萎縮が高度で、主として胃体部に炎症がみられる胃癌由来の菌株(GC群)と、体部の萎縮が軽度で、前庭部に炎症の首座がある十二指腸潰瘍由来の菌株(DU群)をそれぞれ4-5株ずつ選んだ。まず、それぞれの菌株からDNAを抽出して電気泳動を行い、プラスミドを含まない菌株を各群2株ずつ選んだ。それらをTesterDNAとして、そして他をDriver DNAとしてDNAサブトラクションを施行した。GC群に存在するがDU群に存在しない遺伝子断片を含む96クローンのうち、Dot blot hybridizationによって、2群間で明らかな差のある3つのクローンについて塩基配列を決定した。そのうちの2つは同一の遺伝子の一部であり、全ゲノムが報告されている菌株の遺伝子と比較すると遺伝子内部に短い欠失の領域がみられ、蛋白はtruncationを起こしていた。この欠失の意義や病態との関連は今後、更なる検討が必要である。その遺伝子断片以外にも、他のHelicobacter属と相同性のある新規の遺伝子を2つ認め、H.pyloriにおけるそれらの遺伝子の機能についても解析を行う予定である。 【DNAサブトラクションによる方法(2):欧米株X47とSS1を用いた検討】 X47は体部を好んで生息し、SS1は前庭部に好んで生息する菌株である。胃内での生息部位が異なるこれらの菌株を用いて、DNAサブトラクション法を用いて菌株の差について解析中である。
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