2008 Fiscal Year Annual Research Report
前庭部胃炎と体部胃炎の差を規定するヘリコバクター・ピロリ菌および宿主因子の同定
Project/Area Number |
19590719
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 義幸 University of Fukui, 医学部附属病院, 講師 (60313748)
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Keywords | Helicobacter pylori / 体部胃炎 / DNAサブトラクション法 |
Research Abstract |
本年度は体部胃炎と前庭部胃炎の差を規定する菌側因子についてDNAサブトラクション法を用いて検討した。(1)胃癌株(FGC241他)と十二指腸潰瘍株(F90他)(2)体部を好んで生息する株(X47)と前庭部を好んで生息する株(SS1他)(3)若年者に広範な萎縮を来たした菌株(F303)と萎縮が軽微な株(SS1他)のそれぞれについてゲノムを比較することで、菌側の因子の同定を試みた。(4)さらに以前に同定した日本株で頻度が高く、スペイン株で頻度が低い遺伝子についてDNAシークエンシング等を行い解析した。その結果、(1)については、胃癌株に特徴的と思われた3クローンと十二指腸潰瘍株に特徴的と考えられた2クローンについて塩基配列を決定し、dot blot hybridizationで疾患ごとの頻度を検討した。胃癌株から得られたクローンの2つはtfs3の一部、十二指腸潰瘍株から得られたクローンの1つはglc Dに相同性があったが、疾患との有意な関連はなかった。(2)についてはX47に特異的なクローンとして11のクローンの塩基配列を決定し、GenBankに登録されていない新規遺伝子とこれまでに報告されている遺伝子に類似したクローンを認めた。(3)については、1つの新規遺伝子を同定した。(2)(3)で同定された新規遺伝子に関しては、現在その機能について解析を行っている。(4)に関しては、多様性のある5'末端近傍にアデニンが8-9個連続した部位が存在し、これまでの解析から膜蛋白と想定されることより、外部刺激により遺伝子の発現がコントロールされるphase variableな遺伝子と想定され、さらなる解析を行っている。
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