Research Abstract |
目的:ADHD児の夏期治療プログラム(Summer Treatment Program;STP)を行い,新しい評定尺度と脳科学的検討を行い,治療効果を評価した。 方法:平成19年年8月7〜24日までSTP(3週間のデイキャンプ形式)に参加した小学校2〜6年の27名のADHD児(男児24名,女児3名)を対象とした。主な治療法は,エビデンスに基づくさまざまな行動療法で,評価尺度は,ADHD,反抗挑戦性障害スケールに加え,新しい評価法であるSDQ(Strength and Difficultie s Questionnaire),Brown ADD Scale,Impairment Rating Scale(IRS)をSTP前、後に保護者に記入を依頼した。脳科学的検討としてSTP前後にPCを用いた脳認知機能検査Cog Health-Rと睡眠指標;アクチグラム(本人),睡眠日誌、質問票(保護者)を用いた研究を行い,健常コントロール児68名と比較した。 結果:STP前後で有意差を認めたのは,ADHDスケールの不注意,多動、衝動性,反抗挑戦性障害スコア,SDQの行為,多動,情緒,仲間関係,向社会性のすべての項目(p<0.01),Brown ADD Scaleのとりかかり(p<0.05),集中力,努力の維持,感情統制,多動、衝動性(p<0.01)であったが,作業記憶は有意差を認めなかった。IRSは,学業と自尊心(p<0.01),全体的重症度(p<0.05)に有意な改善を認めたが,友達関係,兄弟関係,親子関係には変化認めず。Cog Health-Rの4課題においてSTP前後での改善は認めなかった。健常児と比較してADHD児の入眠時刻,起床時刻,睡眠潜時,夜間覚醒回数に差はなかったが,養育者の主観的睡眠の質に違いがあった。STP前後の比較では,入眠時刻,起床時刻,睡眠潜時に改善が見られたが有意差はなかった。
|