2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫患者の経皮免疫療法で誘導される細胞障害性T細胞のケモカインと走化の調節
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19591301
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
八木 宏明 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 講師 (20242779)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 免疫療法 / ケモカイン / ケモカイン受容体 |
Research Abstract |
経皮免疫(PPI)によるメラノーマ治療は大学の倫理委員会の承認のもとに以下の様におこなった。 対象患者:PPIの目的と意義,試験方法および試験内容を理解し,同意したステージIV,身体活動状態はステータス0〜1,年齢は20才から80才までのメラノーマ患者とする。治療前に肉眼的あるいはCT/MRIなど画像学的に腫瘍径(体積)などにより評価可能な病変を有し,HLA検査で適切ながんペプチドがあることが条件となる。本研究ではHLA-A0201およびA24に結合するペプチドを用いた。 PPI治療:角層剥離の24時間後に剥離皮膚表面にHLA-A02ではMART-1ペプチド溶液,HLA-A24ではgp-100,tyrosinase,MAGE-2,MAGE-3のペプチド混合液を含有するパッチを、24時間貼付する。がんの進行状況に応じて,この操作を一月に1回、計7回おこなった。PPI7回終了後に治療効果を判定し、同時にCTLの増加の有無を調べる。研究的治療はここで終了するが、治療が有効であったと判断された場合や患者の希望により、治療を継続、延長した。 有効性の評価:PPI前後の腫瘍の大きさ、転移の程度を評価する。皮膚腫瘍の場合、その大きさを月に1回測り、写真を撮った。リンパ節転移巣、内臓転移巣についてはCT、MRIなどの画像学的検査を原則として3か月ごとに行い、治療の効果を判定した。 フローサイトメーターによるCTL検出: 1. テトラマー結合試験、ペンタマー結合試験、細胞内インターフェロンg産生細胞検出試験 免疫療法に使用したペプチドの各々について誘導されたCTLを特異的に認識するMHCテトラマー、MHCペンタマーを合成し、三重染色で、これらと結合するCD8陽性細胞数を解析する。末梢血から単核細胞を分離し、免疫ペプチドを添加し培養する。3日後に細胞を回収し、ペプチド特異的にインターフェロン-gを産生するCD8陽性細胞数を解析する。 経皮免疫における実際の治療ではCTLが出現するだけではなく、いかに効率よく病変部に浸潤するかが重要である。今回の研究では、以上の方法により経皮免疫療法で誘導されたCTLの免疫的な性格を解析した。 in vitro CTL機能検査 テトラマー及びペンタマー結合試験により免疫ペプチド特異的なCTLの出現が確認された患者では、末梢血単核細胞を免疫ペプチドで刺激、培養し、CTLの割合を増やす。これをEffector細胞として用いる。HLA-A24あるいはHLA-A02拘束性の標的細胞に免疫ペプチドを標識した後、Effector細胞と共に培養し、標的細胞への抗原特異的な細胞障害活性を有することを確認した。 T細胞受容体Vbetaとケモカイン発現の解析 メラノーマ特異的CTLのT細胞受容体Vbetaを、実際の患者の血液で解析したところ2〜3種類のT細胞受容体Vベータに偏りがある可能性が見いだされた。これらのCTLの多くにおいてケモカイン発現は、CXCR3陽性、CCR4陰性であった。現在のところ、CXCR3のリガンドに対する走化性をCCDカメラによりreal timeで観察できるTAXIScan^<TM>という新たな方法で解析している。
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Research Products
(1 results)