2007 Fiscal Year Annual Research Report
自殺における細胞内情報伝達の変化に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
19591354
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西口 直希 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 講師 (10362774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 治 近畿大学, 医学部, 教授 (40243307)
上野 易弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30184956)
前田 潔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116251)
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Keywords | 自殺 / 細胞内情報伝達 / 遺伝子 / 三量体Gタンパク / RGS2 / 不安 / 攻撃性 |
Research Abstract |
自殺における生物学的基盤を明らかにする目的で、三量体Gタンパクをセカンドメッセンジャーとする経路に着目し、その細胞内情報伝達を調節する分子であり、最近、遺伝子改変動物で攻撃性や不安との関連が報告されているRegulator of G-protein signaling2(RGS2)を候補として、自殺との関連を調べた。RGS2遺伝子内の多型をマーカーとして、自殺との相関の有無を解析したところ、いくつかのマーカーの遺伝子型あるいは遺伝子頻度の分布が自殺者と対照群で有意に異なっていた。多型の分布の差は、ハプロタイプ解析においても確認できた。また、自殺者死後脳の前頭前野(Brodmann area9)ならびに扁桃体におけるRGS2免疫活性は、対照群に比べ有意に増加していた。自殺とRGS2遺伝子との相関、ならびに死後脳におけるRGS2タンパクの変化は、世界的にもはじめての報告である。今回の結果は、自殺に至る生物学的脆弱性にRGS2遺伝子が関与し、脳内の特定の部位においてRGS2タンパクが増加することにより、三量体Gタンパク結合型の受容体をはじめとする細胞内情報伝達に変化を来たし、不安や攻撃性を介して、自殺の生物学的脆弱性が規定されていることを示唆するものである。今後、こうした結果かぜ追試され、RGS2のより詳細な機能や、ヒトにおける気質との関連が明らにされることにより、自殺の生物学的基盤の一端が解明される可能性がある。
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