2009 Fiscal Year Annual Research Report
自殺における細胞内情報伝達の変化に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
19591354
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西口 直希 Kobe University, 医学研究科, 医学研究員 (10362774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 易弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (30184956)
前田 潔 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80116251)
福武 将映 神戸大学, 医学研究科, 助教 (80457085)
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Keywords | 自殺 / TPH2 / TPH1 / ADH1B / ALDH2 / polymorphism |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、細胞内情報伝達の変化を切り口とし、自殺の生物学的基盤に関与する遺伝子の同定を試みるとともに、本研究の最終年度となることから、これまで、候補遺伝子として有力と考えられていたが世界的に追試できなかった遺伝子について、これまで収集してきたサンプルを用い、その相関について改めて詳細な解析を行った。従来、目殺者においてはセロトニン神経系の生化学的な変化が報告されているが、その律速合成酵素であるtryptophan hydroxylase(TPH)について、神経系での発現が確認されているTPH2と自殺との相関を解析した。15のtag SNPを用い、ハプロタイプ解析を行ったが、有意な相関は認められす、さらに、性別や自殺手段の暴力性を考慮して解析したが、関連は認められなかった。自殺の背景疾患として重要である統合失調症において、TPH2に加え、TPH1についてもtag SNPを用いてハプロタイプ解析を行ったが、いずれの解析においても有意な関連は認められなかった。自殺の背景として、世界的にみても、アルコール依存症をはじめとするアルコール関連疾患の果たす役割は重要である。アジア人で認められる代謝酵素の多型は、アルコール依存症の発症に関与することが知られており、そうした多型か自殺にも関連しているのかどうかについて解析した。アルコール代謝に関わるADH1BびALDH2におけるそれぞれの機能的多型と自殺との関連を調べたところ、ALDH2の非活性型遺伝子多型の頻度が男性自殺者で有意に低いこと、さらにアルコール依存症との関連が報告されているADH1Bの活性型遺伝子多型とALDH2の活性型遺伝予多型の組み合わせが、男性目殺者で対照に比べ10倍高いことを見出した。今回検討したアルコール代謝酵素の遺伝子多型が男性アジア人の自殺に関与している可能性があり、今後の追試が必要である。
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