2009 Fiscal Year Annual Research Report
重症不全心に対するRNAiと超音波を組み合わせた新しい遺伝子導入法の開発
Project/Area Number |
19591643
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉川 義朗 Nara Medical University, 医学部, 講師 (40343420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
田村 大和 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (20382301)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 移植・再生医療 / 遺伝子 / 発現抑制 / 生理学 |
Research Abstract |
1. フット心不全心モテルに,sarcoplasmic reticulum Ca^<2+> ATPase (SERCA2a)遺伝子を導入することにより心機能と生存率が改善されると報告した。SERCA2aの抑制蛋白であるPhospholamban (PLB)をアンチセンス法で抑制することでも、SERCA2a機能を亢進できる。このように我々は(PLBとSERCA2aの比率(PLB/SERCA2a ratio)に着目し不全心の治療が可能であると考え、PLB抑制に有効なsiRNAを複数作成し、in vitroで抑制効果を評価しているが有効なものは見つかっていない。 2. マーカー遺伝子と超音波造影剤を用いて、生体内心臓での発現効率を比較するに当たり、新しい造影剤を用いて導入効率を検討している。 3. ラット血液交叉灌流摘出心臓標本を作成し、水溶性カルパイン阻害剤SNJ-1945による大動脈遮断解除後の虚血再灌流不全心形成予防における有効性を検討した。その結果(1) 高K+心筋保護による心停止による虚血再灌流不全心では、ESPVRは下方に移動し、VO_2-PVA関係直線のslopeは変化せずVO_2-interceptが減少する。(2) 水溶性カルパイン阻害剤SNJ-1945を用いることによって虚血再灌流不全心の形成が抑制されることが示され、心筋保護における有効性が示唆された。またSNJ-1945にはβ_1受容体を介するpositive inotropic effect(副効用)を有することが示された。これらの結果より、この水溶性カルパイン阻害剤SNJ-1945が、心臓手術における心筋保護薬としての臨床応用への可能性が強く示唆された。(本成果は第39回日本心臓血管外科学会総会にて発表した。)
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