2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳循環自動調節能のメカニズムに関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
19591657
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大熊 洋揮 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (40211099)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 高広 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20400137)
嶋村 則人 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40312491)
|
Keywords | 脳循環自動調節能 / くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / 脳動脈平滑筋細胞 / 脳内細動脈 / 形質転換 |
Research Abstract |
本研究は脳循環自動調節能のメカニズムを、ウサギくも膜下出血モデルを用い分子生物学的に解明することを目的とした. ウサギにおいて48時間間隔で大槽内に自家動脈血を2回注入することでくも膜下出血を作成した.5日後に以下の評価を行った. I.脳循環の自動調節能の評価:頭蓋骨に小開頭を施し、ここにlaser-Doppler flowmetryのプローブを留置し脳血流量の相対値を測定する.昇圧剤を投与し人為的に血圧を変化させた場合の脳血流量の変化を測定し、自動調節能の障害の有無・程度を評価した. II.脳内細動脈のリモデリングの評価 1.分子生物学的検討:リモデリングの分子マーカーとしてミオシン重鎖アイソフォームのSMembとSM2に関して,蛋白質レベルを免疫染色とWestern blottingで,mRNAレベルをreverse transcription-polymerase chain readtion(RT-PCR)で検討した. 2.定量的組織学的解析:灌流固定後に脳を摘出し薄切し、脳内細動脈の血管内腔、血管壁厚、平滑筋数などを計測した. その結果は以下の如くであった. I.脳循環の自動調節能の評価:正常対照群では、血圧が150mmHgまでは脳血流量に有意な差異はみられなかったが、くも膜下出血群では、血圧が100mmHg以上となると、血圧に依存し脳血流量の増加がみられ、自動調節能が破綻していることが示された. II.脳内細動脈のリモデリングの評価 1.分子生物学的検討:免疫染色の結果では,正常対照群では、SM2の染色のみが示されたが、クモ膜下出血群ではSMembの染色性が増大した.RT-PCR、Western blottingともにくも膜下出血群で、SMembのmRNAおよび蛋白の増加が示されたが、正常対照群に比べ、有意なものではなかった.これは摘出標本が細動脈のみではなく脳組織を含めた評価であったためと思われた. 2.定量的組織学的解析:正常対照群に比べ、クモ膜下出血群では血管内腔面積の減少、血管壁厚の増大、平滑筋数の微増などがみられた. 以上から,くも膜下出血後には,自動調節脳の破綻がみられ,脳内細動脈のリモデリングがその原因となることが示唆された.
|