2008 Fiscal Year Annual Research Report
除負荷による膝蓋腱マトリクス再構築現象を制御する分子動態の解明
Project/Area Number |
19591748
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 信人 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (80447044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 晴一 北海道大学, 病院, 准教授 (60301884)
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Keywords | 再生医 / 細胞・組織 / 除負荷 / サイトカイン |
Research Abstract |
除負荷は整形外科的治療において不可避的に発生し、関節構成体の生体力学的特性を著しく劣化させる(J Biomech Eng, 1993)。我々は独自に開発した除負荷モデルを用いて、除負荷が膝蓋腱の線維芽細胞にIL-1βやTGF-βをタンパクレベルで過剰発現させることを明らかにした。これらの結果は、IL-1βが除負荷された膝蓋腱の力学特性の劣化に大きく関与していることを示唆している。そこで我々はIL-1 receptor antagonist(IL-1ra)のin vivo投与が、除負荷による膝蓋腱の力学特性に与える効果を研究した。実験においては、IL-1ra 5μgをPBS0. 2mlに溶解し膝蓋腱周囲に投与した群とPBS0. 2mlのみを投与した群の比較を行った。各群の動物は手術後3週で屠殺し、膝蓋腱全体およびコラーゲン線維束の力学的評価および組織学的観察を行った。膝蓋腱全体の引張強度および弾性係数はIL-1ra投与群が非投与群より有意(p=0.0063およびp=0.0163)に高値であった。IL-1ra投与群のコラーゲン線維束の引張強度および弾性係数(4.8±2.5および93.1±40.0MPa)は非投与群のそれら(4.4±09および52.6±3.8MPa)と有意差はなかった(p=0.764およびp=0.558)。膝蓋腱の力学的特性はコラーゲン線維束自体の力学的特性、コラーゲン線維束間の力学的相互作用、コラーゲン線維束と他のマトリックス成分間の力学的相互作用に依存すると考えられている。本研究は、IL-1raがコラーゲン線維束自体には影響を与えず、後2者に影響を与えることを示唆した。また本研究は、除負荷により膝蓋腱線維芽細胞に過剰発現したサイトカインを制御することにより力学的強度の減少を抑制できる可能性をはじめて明らかにした。
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