2007 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌特異的に抗腫瘍効果を示すウイルス療法の構築
Project/Area Number |
19591835
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福原 浩 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 講師 (20292948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 唯一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70010551)
武内 巧 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90167487)
冨田 京一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20272578)
藤堂 具紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80272566)
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Keywords | 前立腺癌 / ウイルス療法 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究では、HSV-1を用いたウイルス療法が前立腺癌の薪治療法として近い将来確立することを視野に入れ、プロモータ制御型の前立腺癌特異的な増殖型HSV-1ベクターの開発を目的としている。 まず、Cre-loxPとFlp-FRTの2つのDNA組換え酵素系を介した2段階の遺伝子組換えを用いて、「任意の腫瘍/組織特異的プロモータで制御したHSV-1ベクターを作製する系」を開発した。従来、遺伝子組み込みHSV-1ベクターを作製するには、相同組み換えの確率に頼っていたため、1つのベクターを作製するのに1-2年の歳月を必要としていた。その有効性にもかかわらず、HSV-1の研究がアデノウイルス等と比較し、研究の広がりを欠いたのは、ゲノムが大きいHSV-1の場合、何万という候補ウイルス株のスクリーニングと選択、精製、分子細胞レベルの確認など多大の労力を必要としたからである。しかし、代表研究者が開発したシステムを用いると、組み換え酵素により任意のプロモータが容易に目的のゲノム部位に挿入され、意図した遺伝子組み換えを起こしたもののみを容易に選択できる工夫がなされている。これにより、4〜5種類の遺伝子組み換えHSV-1を3ケ月程度で作製することができるため、開発期間の大幅に短縮と、スクリーニングによる良い抗癌ウイルスの選定が可能となった。既に、前立腺組織特異プロモータとしてPSAやPSMA、オステオカルシンを使用したウイルスや、癌特異的なhTERTを使用したウイルス、negative controlとしてのemptyウイルスなどの数種類のウイルスの作製に成功した。前立腺癌ベクター作製に6ケ月、作製されたベクターの精製に6ケ月を予定していたが、ほぼ予定通りに研究は進行している。今後、動物実験にてin vivo評価を行い有用なベクターを絞り込む予定である。 なお、本研究は、東京大学医学部組換えDNA実験実施規則および東京大学研究用微生物安全管理マニュアルに則って行われ、「遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型を用いた腫瘍ウイルス療法」について承認を得ている。
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Research Products
(5 results)