2009 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌におけるイレッサ、アバスチンの白金製剤耐性解除の検討
Project/Area Number |
19591946
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
寺井 義人 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (90278531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
金村 昌徳 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40298782)
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70454543)
佐々木 浩 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80432491)
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Keywords | 耐性卵巣癌 / 分子標的治療 / イレッサ |
Research Abstract |
卵巣癌におけるイレッサの標的分子であるEGFRについて、肺癌で示されているようなEGFR mutationの有無について、卵巣癌102症例の病理組織標本を用いてEGFR遺伝子のexon 18、exon 19、exon 21についてダイレクトシークエンス法を用いて調べた。さらに、EGFR、リン酸化Akt、リン酸化ERK抗体で免疫染色を行い、臨床病理学的因子と比較検討した。結果、EGFR mutationは24例に認めた。EGFR mutationと臨床治療成績との相関はなかった。EGFRタンパクの強発現症例では予後が悪い傾向にあった。リン酸化Aktの過剰発現例では有意に無病生存期間の短縮が認められた。イレッサを臨床的に使用出来ない現状の中で、このような卵巣癌のEGFR mutation症例におけるイレッサの臨床的効果の検討は今後必要となってくると考えられる。また、我々の検討では、卵巣癌においては、EGFRより下流標的分子であるAktをターゲットとした分子標的治療がより効果的と考えられる。そこで、我々はAktをターゲットとするagentを検討したところ、再発卵巣癌治療に使われているTopotecanがAktのリン酸化を抑制することを見いだした。再発卵巣癌では、シスプラチン耐性になっていることが多いが、シスプラチン投与によりシスプラチン耐性卵巣癌株Ca-ov3細胞がAktをリン酸化し、apoptosisを抑制することを見いだした。このAktのリン酸化はtopotecanを投与することで抑制され、PARP cleavageを引き起こし、apoptosisを誘導することが判明した。さらに、TopotecanはHIF-1aの核内移行を抑制し、VEGFの発現を抑制することを明らかにした。In vivoの実験では、ヌードマウス腹腔内にCaov3細胞を5X10^6個腹腔内投与し卵巣癌播種モデルを作成した。これにシスプラチン、Topotecanを単剤、併用で投与し見たところ、シスプヲチン耐性卵巣癌株のCaov3に対して、シスプラチン+Topotecan併用投与では、有意に腹水産生を抑制し、播種病巣の抑制を認めた。以上のことから、Aktをターゲットとした分子標的治療の有用性が証明され、Topotecanがこの有用な候補になり得ることを明らかにした。これらの結果は現在、論文投稿中である。
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Research Products
(5 results)