2007 Fiscal Year Annual Research Report
自家細胞、液性因子、人工細胞外マトリクスを用いた慢性期脊髄損傷治療の研究
Project/Area Number |
19592074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 和哉 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (10314189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 謙介 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80379057)
鈴木 義久 田附興風会, 第3研究部, 研究主幹 (30243025)
井出 千束 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70010080)
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Keywords | 慢性脊髄損傷 / 脊髄再生 / 中枢神経 / 脊髄内空洞 / 浸透圧ポンプ / アルギン酸ゲル |
Research Abstract |
本年度はまず、安定した慢性脊髄損傷を作成する実験を行った。New York University Weight Drop Deviceにならって、10gのおもりを脊髄に垂直に落下させる装置を作成した。 生後4週齢、8週齢のWistarラットの背部を切開し、胸髄Th8-10のレベルで椎弓を切除し脊髄を露出。先に作成したWeight Drop Deviceを用いて硬膜上から脊髄に圧挫損傷をくわえる。椎弓を元に戻し、皮膚縫合し飼育する。おもりを落とす高さを変え実験した。6.25cm,12.5cmから落とし2-4週間後に脊髄内に空洞が形成されることが観察された。生後8週齢の場合6.25cmの場合空洞は比較的小さく、下肢の麻痺も2週間程で回復した。12.5cmの場合損傷後2週間で比較的大きな空洞を形成し、下肢の麻痺は長期残存した。生後4週齢の場合は6.25cmの高さでも比較的大きな空洞が形成され、下肢の麻痺も残存した。12.5cmでは膀胱直腸障害が原因と思われるが、一週間程度で死亡する場合が多かった。 何度か実験しているうちにほぼ安定した大きさの空洞が形成できるようになった。この装置を用いて安定した慢性脊髄損傷が作成できることがわかった。 次に浸透圧ポンプを用いて、この空洞内に薬剤を持続投与する実験を行った。まず、再び椎弓切除を行い、硬膜外より透見される空洞に細いシリコンチューブを挿入しそれを浸透圧ポンプに接続した。まだ結果は出ていないが、この方法では、残存している脊髄組織を損傷してしまうこととなり、投与経路を考える必要があると思われた。ほかの経路としては、硬膜下クモ膜内に投与するか、大槽や脳室より脳脊髄液経由で投与する方法が考えられる。これらは次年度実験する予定である。 また、この脊髄空洞内にアルギン酸ゲルを移植することを計画しているが、その際にも同様の問題が生じることが予想された。
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