2009 Fiscal Year Annual Research Report
自家細胞、液性因子、人工細胞マトリクスいた慢性期脊髄損傷治療の研究
Project/Area Number |
19592074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 和哉 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (10314189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 謙介 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (80379057)
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Keywords | 慢性期脊髄損傷 / 細胞外マトリクス / アルギン酸ゲル / bFGF / 徐放 / ヘパリン様ペプチド |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、ラット慢性期脊髄損傷に細胞外マトリクスとしてアルギン酸ゲルおよび、bFGF添加アルギン酸ゲルを移植する実験を行った。 Wistar系4週齢♀ラットの胸髄(Th8)のレベルで、脊髄硬膜を露出し、硬膜外より10gのおもりを6.25cmの高さから落とし、脊髄に圧挫損傷を作成する。その際、損傷部位にマーキングをしておく。作成2週間後に再び椎弓切除を行い、マーキングの部位に形成された脊髄空洞にアルギン酸ゲルを注入する。脊髄空洞の容積はおよそ0.3-0.5mlで安定していた。空洞内の脳脊髄液を硬膜外よりシリンジで吸引し、同量のアルギン酸ゲルを注入した。注入には30Gの注射針を研磨したものを用い、さらなる脊髄損傷を起こさないように注意した。注入する際に少し難しい面があったが、脊髄に損傷を与えることなく安全に、安定して注入できるようになった。 昨年度作成した、アルギン酸にヘパリン様ペプチドを結合させたゲルに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)と結合させ、徐放出来るようにしたものを移植(注入)した。ラットの後肢の運動の観察では、アルギン酸単独で移植したものとは有意の差はなかった。 ゲル注入後2,4,8週(各群5匹)で損傷した脊髄を取り出し、標本を作製した。標本は、凍結切片を作成し、免疫組織化学染色を行った。染色結果を、アルギン酸ゲル単独のものと比較検討した。いずれの群も脊髄に空洞が作成されていた。脊髄の空洞は、bFGF添加群が小さい傾向は見られたが、ばらつきが大きく統計的有意差は見られなかった。神経線維等の免疫組織化学染色では、染色される軸索の数はbFGF添加群が多い様に思われたが、こちらも統計的に有意差は見られなかった。また空洞を埋めるような、損傷部を横切るような軸索の再生は見られなかった。 研究手技、手法は、検討したが大きな問題が無いと考えられ、移植(注入)すべき液性因子等を検討する必要があると考えられた。
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