2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた転写因子Runx2の象牙芽細胞分化における機能解析
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19592120
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮崎 敏博 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10174161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小守 壽文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
金谷 直子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (10380982)
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Keywords | Runx2 / 遺伝子改変マウス / 歯 / 象牙芽細胞 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 免疫組織化学 / in situ hybridization |
Research Abstract |
Runx2は骨芽細胞の分化に重要な転写因子であるが、そのノックアウトマウスでは歯胚形成も帽状期で停止する。本研究の目的は、象牙芽細胞の分化におけるRunx2の機能を遺伝子改変マウスを用いて組織学的に解析することである。本研究ではI型コラーゲンプロモーターを用いて象牙芽細胞特異的に Runx2を発現させたトランスジェニック{Tg(Col1a1-Runx2)}マウスと象牙芽細胞特異的にRunx2を欠損させたコンディショナルノックアウト{cko(Col1a1-Runx2)}マウスを解析する計画であったが、野生型マウスを用いた内在性Runx2の詳細な免疫組織化学的解析により、Runx2は歯小嚢細胞に強く発現するものの、前象牙芽細胞で発現は低下し象牙芽細胞の分化・成熟とともに消失することが明らかになったことから、Tg(Col1a1-Runx2)マウスの解析に重点を置き、象牙芽細胞におけるRunx2の発現が歯牙形成に及ぼす影響を解析した。Tgマウスの象牙芽細胞は典型的な円柱形の形態を失い、骨芽細胞様の形態を呈し、象牙質は象牙細管等の特異的構造を有さず、細胞を含む骨小腔様構造が存在した。また、免疫組織化学および因in situ hybridizationによる解析では、Tgマウスの象牙芽細胞において、象牙芽細胞特異的蛋白であるnestinとdentin sialophosphoproteinの発現が消失し、骨基質に豊富なosteopontin、osteocalcinおよびdentin matrix proteinlの発現が上昇していた。以上の結果より、Runx2は象牙芽細胞の最終分化を抑制し、象牙芽細胞を骨芽細胞に分化転換させること、すなわち、象牙芽細胞の正常な分化において、Runx2はダウンレギュレーションされなければならない事が明らかになった。
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