2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト舌癌の浸潤・転移能と病理組織診断:細胞異型と癌胞巣構造の3次元組織形態解析
Project/Area Number |
19592321
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
柳下 寿郎 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 准教授 (50256989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出雲 俊之 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80322709)
島津 徳人 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10297947)
佐藤 かおり 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (90287772)
青葉 孝昭 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (30028807)
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Keywords | 歯学 / 病理学 / 舌癌 / 立体観察 / 細胞異型 / 浸潤・転移 / 血管新生 / 診断基準 |
Research Abstract |
本研究課題では、腫瘍の生物学的特質を理解し、予後判定の科学的根拠を確立していくことを長期課題として、ヒト舌癌症例における組織要素を分画した立体構築と3次元形態計測、癌形質マーカの免疫組織化学による検索に基づき、組織形態パラメータと病態の予後とを対比する。最終年度においては、これまでに組織立体構築した舌癌20症例について、癌浸潤様式の定量化の指標として、癌実質と間質との境界面の形状と境界面積、癌実質の構成細胞総数とKi67陽性細胞数(および両者野比率による増殖活性)、癌実質と間質におけるKi67陽性細胞の局在、間質に囲まれて互いに分断した癌胞巣(孤立胞巣)の出現頻度と構成細胞数について形態計測した。舌癌深達部における浸潤様式として、実質・間質の境界面の3次元形態学的な特徴に基づき、大きな集塊を形成して間質を圧迫する様に増殖する圧迫型、癌実質内に血管間質が陥凹して太い突起状に伸展している突起型、細い索状の胞巣が網目状に連結している索状型、索状の連結が断たれて間質内に分断された小胞巣が散在している分散型に分類できた。3次元形態計測の結果では、圧迫型の癌胞巣においても細い血管間質が複雑に入りこんでおり、境界面積は他の浸潤様式よりも大きな値を示すことが確かめられた。孤立胞巣サイズとしては、単独の癌細胞から数千個の細胞集団を検出しており、癌微小環境において単独細胞から小細胞集団、多細胞集団としての浸潤様式の多様性を支持する結果が得られている。また、早期癌において、間質との境界領域において癌細胞形質転換を生じることと、単独あるいは数個の癌細胞で構成される孤立胞巣が発生することを確かめている。これらの研究成果は総説論文として公表するとともに、口腔腫瘍学会、日本病理学会で口演発表、さらにWebで公開している。
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