2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592341
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 史浩 Kyushu University, 歯学研究院, 助教 (10346801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 泰孝 九州大学, 大学病院, 講師 (60205151)
白砂 兼光 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)
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Keywords | 歯学 / 歯原性腫瘍 / 角化嚢胞 |
Research Abstract |
従来、歯原性腫瘍の治療には顎切除術あるいは腫瘍周囲の顎骨を含めた根治的摘出術など徹底した病巣除去を目的とした外科的手術が行われてきた。しかしながらこの方法では術後に形態や機能の回復が困難な場合もみられるため、開窓療法を行って、ある程度の大きさまで縮小させてから摘出を行う方法が取られるようになってきた。開窓療法は有効な治療法ではあるが、2度の外科的侵襲と長期間を要することが短所である。そこで歯原性腫瘍内に直接注射を打つ程度の簡単な処置を施すだけで、腫瘍の発育に大きく関与している因子を取り除くまたは不活化させ、大きな外科的侵襲を加える事なく、この腫瘍を縮小ないし消滅させる事を可能にするという方法を開発するのが本研究の目的である。そのためにまず歯原性腫瘍の発生や増大のメカニズムを知る事が、極めて重要である。 歯原性角化嚢胞(KCOT)における上皮細胞の増殖・分化誘導をみるためkeratinocyte growth factor(KGF)やKGFレセプター(KGFR)、またinterleukin-1α(IL-1α)に着目した。KCOTおよび含歯性嚢胞(DC)について免疫組織化学染色を行い、またKCOT由来線維芽細胞におけるKGF mRNAをリアルタイムPCR法で測定した結果、IL-1αとIL-1αレセプターI(IL-IRI)は開窓前ではKCOT上皮細胞で強い発現を認めたが、開窓後の染色強度は有意に減少した。IL-1αレセプターアンタゴニスト(IL-1Ra)は開窓後に増強傾向がみられた。KCOTの開窓前の上皮細胞と線維芽細胞におけるKGFの発現は、DCより有意に高く、開窓後に有意に減少していた。またKGFRもKCOT上皮細胞にDCよりも有意に高く発現していた。またIL-1αはKCOT由来線維芽細胞におけるKGF mRNAの発現を増加させた。以上の事から開窓時に強く発現しているIL-1αはKCOTの線維芽細胞でのKGF発現を促し、KGFRを介して上皮細胞の増殖や分化に重要な役割を果たしている事が示唆された。
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