2007 Fiscal Year Annual Research Report
新生児・乳児の泣きへの対応を含めた底児支援プログラムの作成
Project/Area Number |
19592551
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Research Institution | Women's Junior College of Nippon Sport and Science University |
Principal Investigator |
岡本 美和子 Women's Junior College of Nippon Sport and Science University, 幼児教育保育科, 教授 (70435262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 恵 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (90229443)
時本 久美子 日本体育大学女子短期大学部, 幼児教育保育科, 教授 (50105011)
奥泉 香 日本体育大学女子短期大学部, 幼児教育保育科, 教授 (70409829)
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Keywords | 育児支援 / 子どもの泣き / 情緒的動揺 / 初産婦 / 新生児・乳児 / 苛立ち |
Research Abstract |
本研究の目的は、出産後3〜4カ月頃の持続する子どもの泣きに直面した初産婦が経験する情緒的動揺に関連する要因について分析することである。調査期間は2007年10月〜12月、対象施設は新宿区保健センター4施設、対象者は162名で全員妊娠産褥経過において母子共に重篤な問題のない初産婦であった。分析の結果以下のことが明らかになった。 ・対処困難な持続する子どもの泣きを経験している母親は56名で対象者全体の35%だった。 子育て地縁では、身近に育児・家事の支援者のいない母親が107名で全体の66%だった。 ・泣きへの対処に関する情報で、困惑した経験のある母親は44名で全体の27%だった。特に、「情報が多すぎる」「育児書によって意見がまちまち」「親世代と意見が違う」ことによる困惑が多かった。 ・情緒的動揺が確認された母親は37名で持続する泣きを経験した母親の66%に及んだ。その社会的背景として、母親の居住地域における子育てのための地縁不足、育児情報による困惑が影響していることが明らかになった。 ・情緒的動揺に至る母親は、そうでない母親に比較して疲労感、不安感が高値であった。泣きへの対処と不安感が持続することで母親の疲労と不安が増強し、その結果として情緒的動揺に至る構造が認められた。 ・情緒的動揺の特徴として「苛立ち」の気持ちが高値を示した。 調査結果より、子どもの泣きが落ち着くといわれている出産後12週頃であっても、3人に1人が対処困難な泣きを経験しており、母親の心身の疲労が長期に渡ることが認められた。また、高値を示した「苛立ち」は怒りといった衝動行動、さらには虐待へと深刻化する可能性がある。早急な解決への取り組みが必要となってくる。20年度の継続研究では、調査結果を参考に育児支援プログラムを作成し、出産後早期の母子クラスを実際に医療現場で設け検討していく予定である。
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