2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592577
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 美根子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (60301850)
|
Keywords | ナラティヴアプローチ / ライフストーリ / ライフストーリースクリプト / カナダの高齢者 / 認知症 |
Research Abstract |
認知症をもつ高齢看を対象に認知能力を測定する尺度開発を行ってきた。その成果を和・洋専門誌上にて発表してきた。これまでの数年間は尺度開発を目的として、開発した尺度の妥当性と信頼性をみるため県内・外の高齢者施設居住者およびディケア通所者を対象にのべ対象100人の測定結果を基に統計処理を行い検証してきた。量的方法論と異なる方法として、本年度は質的研究方法を用いて対象へのインタビューを試みた。対象はカナダ在住の高齢者で認知度は軽度から中度と判断された。質的方法の一つであるナラティヴアプローチを用いてインタビューを行い、その成果を誌上発表した。ナラティヴアプローチ法の特徴である両者間における相互作用の重要性を重視することから、ICレコーダー等の器具は用いなかった。また、インタビュー全行程において山下が単独で英語で行った。このナラティヴ・アプローチを用いた結果、量的方法で解明出来なかった側面が浮上した。それは研究者の関わり方によって、対象は内に秘めた思いや考えを表出できるということである。認知症を患っていても、インタビューワー(インタビュウーする人)の関わりの仕方でインタビューイー(インタビューされる人)は、潜在していた様々な思いや考えが呼び起こされ、それらにまつわる出来事や関わった人との人間関係が浮き彫りにされた。その結果、インタビューの中で自分が体験したことの意味や意義について振り返る機会を得る。その結果これまで明確でなかったことが明確となり対象の精神的健康に影響を及ぼす。このようにナラティヴ・アプローチを用いた成果を誌上発表したことで、異文化社会における認知症高齢者の研究分野に新たな知見として貢献できたと考える。
|
Research Products
(1 results)