2007 Fiscal Year Annual Research Report
地域における独居高齢者の貧困が健康に及ぼす影響と地域看護支援のあり方に関する研究
Project/Area Number |
19592581
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
別所 遊子 Kanagawa University of Human Services, 保健福祉学部, 教授 (20190176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 貞司 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (90223833)
片平 伸子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (10381675)
本田 亜起子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (90420695)
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Keywords | 高齢者 / 健康 / 貧困 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域において相対的に貧困な状態にある独居高齢者の健康の状態と健康にかかわるニーズ、健康状態に影響を及ぼす要因、医療保健福祉サービスの利用状態、ソーシャルサポートの受領状態を明らかにし、貧困な状態にある独居高齢者の健康レベルを維持し、生活機能の低下を予防する方策について検討することを目的としている。 平成19年度は、経済的な問題を抱えている独居高齢者に関わる専門職、ならびに地域の独居高齢者を把握し、相談を受けている民生委員を対象にインタビューを実施した。 専門職へのインタビューから、近年、高齢者においては、健康問題、経済問題、介護問題、人間関係などの問題が相互に絡み合い生活全体に影響していること、また「経済的困窮」のなかにも多様な要素が含まれていることなどが語られ、それらを包括的に考える必要があることが示された。また、民生委員へのインタビューでは、生活保護の給付等により、貧困が直接的に健康障害を顕在化させる状況は多くないものの、少額の年金を計画的に支出する能力が不足しているために、一定期間ごとに生活必需品を購入することが困難な状況に陥ったり、家計を援助している親族の死亡により直ちに生活費に困窮をきたしたり、遠方への転居を余儀なくされるなど、経済問題に起因する健康を含めた生活全般の基盤が脆いことが示唆された。高齢期においては、収入のみならず家計の自己管理能力を保持することが重要であるとともに、高齢期に至るまでに積み重ねてきた近隣の人との関係性が経済的に困窮状態にある場合にも、近隣からのサポートに影響していることも明らかになった。また、新たに地域に転入してきた見守りが必要な独居高齢者を、民生委員が把握しにくい状況になっている現状も指摘された。
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