2008 Fiscal Year Annual Research Report
「のさり」の両義性と日本人のウチ・ソト文化からみた地域ケア・システムの構築
Project/Area Number |
19592620
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
竹熊 千晶 Kumamoto Health Science University, 保健科学部・看護学科, 教授 (20312168)
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Keywords | のさり / ウチ・ソト / 文化 / ケア・システム / ライフ・ヒストリー |
Research Abstract |
1. 調査方法についての検討:ライフヒストリー調査法については、研究者間で文献を学習し、今回の調査への適応について検討した。スーパーバイザーの講師と連絡を取りながら、引き続き対象者へのインタビューを行っている。 2. 分析枠組みの検討:これまで調査を行った3つの離島について、奥田(1983)のコミュニティ・モデルを用いて地域特性を分析した。これらをもとに、団地住民の調査のための質問項目を検討し、調査用紙を作成した。 3. 調査の実施:「のさり」を使用する地方都市の団地住民に対して、生活実態と健康状態、要介護の状態になった場合のケアの状況などを質問紙面接調査を行った。(有効回答数:K市・6団地約300世帯)現段階では、単純集計と各項目のクロス集計の途中である。しかしながら、調査実施過程において、様々な困難性や他者に対する排他性が浮かび上がり、関与の項目ごとのウチ・ソトの境界が明瞭であることが窺えた。この困難そのものが、近隣とのつきあいや紐帯に影響を与える事実のひとつであり、ケアという行為に対しても大きな影響を与えていると思われる。 4. 来年度調査に向けての準備と課題:団地住民の近隣とのつきあいに関する境界は、質問紙による量的調査では、十分に把握できないことがわかった。そこで、ライフヒストリーの手法を用い、住民の中でもキーインフォーマント数名から、インタビュー調査を実施する。それらのデータから、生活関与の項目毎にウチ・ソトの意識がどのように働き境界となっているか、とりわけ身体接触を有するケアの項目で、誰が介護を担っているのか分析し、日本の文化に根付く持続可能なケア・システムを検討する。
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