Research Abstract |
平成21年度は3年間の総括として,20年度までに構築した創知資本活用のための基盤システムを見直し,新たな適用領域に向けた拡充を行った.大学機関の創知資本は,教育研究を提供する側の教員,受ける側の学生である.20年度までは,教育における教育と学生を結ぶネットワーク基盤として,CURES(Chiba University Research and Educational Support)を設計,構築した.CURESは,大学機関内のシラバスシステムと連携し,講義の関係性を可視化することができる.これによって教員側に対しては教材の共有,学生側に対しては,講義に関する資料の効率的な収集を可能にし,講義選択支援システムとしても実用に供するレベルである. 21年度は,CURES構築のノウハウを「教員間の関係の可視化」に運用し,千葉大学工学研究科に所属する研究者ネットワークの研究上の繋がりの可視化に取り組んだ.同研究科に所属する250名におよぶ研究者に各研究者の専門分野についてアンケートを実施し,この集計結果に基づいて研究者間の未発掘な関連を可視化しようとする試みである.集計結果の可視化は,ネットワーク可視化ツールCytogcapeを用いた.研究キーワードから,キーワード関連教員の抽出,または,任意の教員から共通キーワードを抽出し,自在に検索,可視化できる.既往研究におけるコミュニティ可視化システムでは,各研究者が所属する団体単位,あるいはWeb全体を対象としたネットワークが表示される.これに対して,任意の研究者を選択して,その研究者個人が構成するネットワークだけを作り出すという利用者視点のネットワークを構成する自由度がないという課題があった.RESCUE(Research and Education Support in Chiba University : Engineering)は各研究者の立場から他の研究者との関係を俯瞰することのできる枠組みを導入し,各研究者に近い研究者の(研究動向などの)変化を時系列で追える機能の提供を実現した.
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