2007 Fiscal Year Annual Research Report
対人コミュニケーションスキル習得における母子会話の役割-定型・非定型発達の比較
Project/Area Number |
19650063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 智子 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (20296792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神尾 陽子 国立精神・神経センター, 児童・思春期精神保健部, 部長 (00252445)
伊良皆 啓治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20211758)
田中 優子 九州大学, 医学部, 研究員 (50392030)
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Keywords | 心の理論 / コミュニケーション / 母子会話 / 自閉症スペクトラム / 言語発達 |
Research Abstract |
本研究では、健常児と高い言語能力を持つ高機能自閉症スペクトラム児(アスペルガー症候群を含む)の対人コミュニケーションの発達メカニズムを詳細に比較検証することを通して、心の理論発達と対人コミュニケーションスキルの発達の関係性を明らかにすることを目的とする。具体的には、心の理論と言語発達、非言語的情報の理解と使用といった、他の認知機構との関係性を複数の方法で検証する。 初年度は、(1)健常児、高機能自閉症スペクトラム児グループにそれぞれ6-10組の母子を会話データベース作成のためにリクルートし、録音録画を開始すること、(2)マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を使用し、被験者の母親に記入を要請すること、(3)コミュニケーションの要素を加えた誤信念課題のパイロット実験を行うことを計画した。(1)(2)は、九州大学医学部で就学前の児童とその母親を被験者として行った。(1)は好きな遊びをしながら自然会話を行ってもらい、データを収集した。(3)は、就学児童を対象にして、東京大学の実験室で行った。さらに、(3)でリクルートした就学児童のナラティブのデータ収集も行い、言語的、談話的な特徴を調査することが可能になった。それぞれの詳細なデータ分析は、次年度に行うことになっているが、初期的な分析の結果、予想された健常児と自閉症スペクトラム児の差異が見られることがわかっている。 本研究は、(1)幼児期からの自閉症スペクトラムの発達データを詳細に検証することと、(2)自閉症スペクトラムを群として研究することを可能にする、という2点において、発達障害研究においても大きな意義を持つと言える。その結果をもとに、高機能自閉症スペクトラム児の療育に向けての新たな提案をし、療育前と療育後のコミュニケーション能力の行動的な判定と、神経基盤の測定に発展させていくことを目指している。
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Research Products
(4 results)