2007 Fiscal Year Annual Research Report
高度経済成長における市民・住民運動のオーラルヒストリー研究
Project/Area Number |
19653042
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤林 泰 Saitama University, 経済学部, 助教 (80292639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三論 隆 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80111409)
市橋 秀夫 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (70282415)
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Keywords | 社会学 / 市民運動 / 住民運動 / オーラルヒストリー / 高度経済成長期 / 社会運動 |
Research Abstract |
本研究は,オーラルヒストリーの手法により,今なお埋もれている高度経済成長期における市民・住民運動の諸相を掘り起こし,その記憶を記録にとどめることを目的とする。 この目的を達成するために,平成19年度は,研究代表者・研究分担者・研究協力者計5名の共同作業により,下記の市民運動・住民運動の当事者へのヒアリングを実施し,合わせて新たな資料収集および音声の文字化を行った。 1市民運動1960年代後半から1970年代前半にかけて全国に広がった反戦平和運動であり,戦後市民運動の代表的な事例であるベ平連運動の研究は,これまでそのほとんどが東京ベ平連に関するものであった。だが,東京ベ平連とは大きく異なる特徴をもつ地方ベ平連の掘り起こしは,戦後の反戦平和運動および市民運動を理解する上で不可欠のプロセスであるとの認識にもとづき,今年度は,福岡ベ平連ほかの当事者約10名から聞き取りを行った。 2住民運動1960年代後半から80年ごろまで日本各地に発生した住民運動の多くは,高度経済成長期前期の深刻な公害発生への脅威から開発反対の予防運動として立ち上がり,その後の環境問題への取り組みに大きな影響を与えることになった。事例として,伊達火力発電所建設,広田湾埋め立てなどへの反対運動当事者10数名への聞き取りを実施した。 こうした聞き取りを通じて,当事者の想いやこだわり,あるいは当時の地域社会の雰囲気に接することで,文献史料がさらに生かされるという好循環が生まれ,オーラルヒストリーという手法が歴史認識を深める上で大きな効果を持つとの確信を得た。
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