2008 Fiscal Year Annual Research Report
真菌PAMPsによる消化管粘膜バリア機能の損傷機構に関する研究
Project/Area Number |
19659112
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
大野 尚仁 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (80152213)
|
Keywords | 病原真菌 / PAMP s / 細胞壁多糖 / ベータグルカン / マンノプロテイン / 消化管障害 / 病態モデル |
Research Abstract |
我々は病原性真菌PAMPsであるマンノプロテイン(CAWS)ならびにベータグルカン(CSBG)のいずれもインドメタシン(IND)との併用投与により,消化管傷害を引き起こし,腸内細菌トランスロケーションによる敗血症を誘発することを見出している.LPS低応答性系統であるCH3/Hejマウスを用い,β-グルカン/IND誘発消化管傷害敗血症モデルについて検討したところ,C3H/Hejマウスにおいても,消化管傷害,微生物トランスロケーションが起こり,致死毒性,低体温,体重減少が認められた.我々はさらに,本消化管傷害敗血症モデルの発症メカニズムを明らかにするため,microsomal cytochrome P450(CYP)の発現について検討した.ICRマウスにおいてCYP3A11発現はベータグルカン及びIND処置により減少した.ショック誘発時において,CYPは劇的に減少した.C3H/HejマウスにおいてもCYP3A11発現は減少したが,緩やかであった.一方,両系統において,CYP2E1発現はベータグルカン及びIND処置によっても変化せず,しかし敗血症時に減少した.C3H/Hejマウス脾臓細胞における他のpathogen-associated molecular patterns(PAMPs);Pam_3CSK_4及びCpG-oligodeoxynucleotideへの反応性について評価したところ,IL-6合成誘導への共作用が示された.これらの知見からベータグルカン及びINDの併用処置は肝cytochrome P450発現,特に敗血症の後期において影響を及ぼすことが示唆された.また,この結果はこの変化がエンドトキシンだけではなく,他のPAMPsにおいても同様に関与している可能性を示した.本消化管傷害敗血症モデルの発症メカニズムについて分子レベルでの明らかにすることができた.
|