2009 Fiscal Year Annual Research Report
真菌PAMPsによる消化管粘膜バリア機能の損傷機構に関する研究
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19659112
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
大野 尚仁 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (80152213)
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Keywords | 病原真菌 / PAMPs / 細胞壁多糖 / ベータグルカン / マンノプロテイン / 消化管障害 / 病態モデル |
Research Abstract |
我々は病原性真菌PAMPsであるマンノプロテイン(CAWS)ならびにベータグルカン(CSBG)のいずれもインドメタシン(IND)との併用投与により,消化管傷害を引き起こし,腸内細菌トランスロケーションによる敗血症を誘発することを見出している.LPS低応答性系統であるC3H/Hejマウスにおいても,消化管傷害が起こり,致死毒性,低体温,体重減少が認められ,それらの発症メカニズムについて分子レベルでの解析を行ってきた.これまでの検討により,CAWSをDBA/2マウスに腹腔内連続投与すると,数週間後に致死毒性を示すことが知られている.我々はCAWS投与致死毒性における治療法の検討として,免疫抑制薬であるプレドニゾロン,シロリムスをCAWS投与後に投与し,経過観察を行った.未治療群において観察90日後において90%の致死毒性を示したのに対し,シロリムス投与群においては30%程度であった.プレドニゾロン投与群においては致死毒性が認められたが,生存期間が延長された.両免疫抑制薬において違いが認められたことは興味深く,作用機序の違いが治療効果に影響していることが考えられた.また,真菌Agaricus brasiliensisヒト経口投与時のベータグルカンに対する抗体価の変化について検討した.プラセボ群と比較し,A.brasiliensis投与群において,個人差が認められたが抗体価が有意に変動した.ヒトにおいてベータグルカンの消化管を介した免疫応答の一部を検討することができた.個人差が認められことは興味深く,真菌PAMPs応答性への個人差につながるものと考えられた.
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