2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19672002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 明 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70378826)
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Keywords | 反射 / 責任 / 社会化 / 模倣 / 文化学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は,相互行為における応答の力が基礎となり,子どもと養育者の双方が責任を徐々に発達させると考えて,責任が文化的に形成される仕組みを探求することである.平成20年度は,まず前年度に引き続き日本国内において乳幼児がいる家庭11軒について定期訪問を行った.訪問先ではビデオカメラで養育者-乳幼児間の身体的相互行為,初期音声コミュニケーション,やりとり活動,模倣活動に関する映像資料を蓄積している.この映像資料から書き起こしを作成し,さらに注目する行動・状態の分析を進めている.また,上記のデータを用いて研究代表者と研究協力者で月に一度のペースでデータセッションを行い,分析の妥当性を検討している.こうした分析に基づいて以下の検討を行った.双方向のやりとり活動を可能にする条件には,(1)共同化された行為の協応,(2)連鎖のイニシアティブの知覚,(3)多人数による養育者-乳幼児間相互行為(CCI)における意味のトライアンギュレーション,(4)相互行為におけるテリトリー性の理解などがある.様々な文化の子どもは,対人的な相互行為に直面する時,これらを資源として相互理解を達成する.これが相互行為の参与者が行為の意味を交渉する基盤となる.システムとしての家族はこうした意味の交渉の歴史の上に成り立つ.さらに現地調査により収集したサンのCCIのデータを用いて,定住化に伴う離乳の早期化が多年齢からなる子ども集団の活動に及ぼす影響について分析した.これらの研究成果の一部はアメリカ人類学会及びIASCL(海外研究協力者との共同企画),日本発達心理学会(国内研究協力者との共同企画),研究代表者が定期的に主催する「責任の文化的形成セミナー」(海外・国内研究協力者との共同企画)等で発表された.また調査への参加者に向けた報告書を作成し,保護者に配布するとともに本研究プロジェクトのホームページに掲載した.
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