2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19673002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
筒井 健一郎 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (90396466)
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Keywords | サル / 単一ニューロン活動 / 機能的MRI / 前頭連合野 / カテゴリ / 推論 |
Research Abstract |
霊長類をはじめとする高等動物は、刺激とその意味の関係を個別に学習するだけでなく、学習した刺激の等価性に基づいて刺激をカテゴリ的に認識することが知られている。刺激の等価性に基づくカテゴリの形成や、それに基づいた推論は、これまでほとんど神経科学の対象となったことはなかった。そこで、本研究ではまず、それらの心理機能の神経基盤を調べるための「グループ逆転課題」を開発し、サルにカテゴリ認識能力および推論能力があることを行動学的に確かめた。課題の基本的デザインは、条件刺激(抽象図形)の後に無条件刺激(ジュースまたは食塩水)を与えるパブロフ型条件付け課題である。8個の抽象図形によって構成される刺激セットを作成し、セット中のすべての刺激が8試行で1回ずつ使われるように、擬似ランダム系列を用いて各試行で呈示する刺激を決めた(8試行=1ブロック)。あるセッション(通常6〜12ブロックから成る)では、8個の刺激のうち半数(カテゴリX)の刺激のいずれかが呈示されるとその後にジュースを、残り(カテゴリY)の刺激のいずれかが呈示されるとその後に食塩水を与え、次のセッションではその関係を逆転させて、カテゴリXの刺激の後には食塩水を、カテゴリYの刺激の後にはジュースを与えるということを繰り返した。サルにとっては、ジュースは快刺激、食塩水は嫌悪刺激であるので、ジュースを示す手がかり刺激が呈示された試行では、ソレノイドバルブが開くタイミングで口を開けてジュースを受け止め、食塩水を示す手がかり刺激が呈示された試行では、そのタイミングで口を閉じて食塩水を避けるのが正しい反応となる。逆転後の第一ブロックにおいて、サルは個別の刺激についてはじめて逆転を経験するので、そこで正しく反応するためには、カテゴリに基づいた推論を行う必要がある(推論ブロック)。この課題を、3つの刺激セットを交代で用いながらオーバートレーニングをした後には、逆転後の2試行目から正しく反応できるようになった。すなわち、サルは、ただひとつの刺激について、それまでのジュースに代わって食塩水が与えられたことを経験すると、同じカテゴリの残りの3刺激についても同様のことがおこるとともに、別のカテゴリの4刺激について、それまでの食塩水に代わってジュースが与えられることを予測できたのである。これらの結果によって、サルが、等価性に基づいた刺激のカテゴリ化が行えること、また、そのカテゴリに基づいて帰納的推論が行えることが明らかになった。
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] A brain-machine interface for predicting both arm-reaching movements and posture maintenances.2007
Author(s)
Hirose, H, Choi, K, Shiga, T, Tsutsui, KI, Sakurai, Y, Koike, Y, Iijima, T
Organizer
37th Annual meeting of the Society for Neuroscience
Place of Presentation
San Diego
Year and Date
20071103-07
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