2007 Fiscal Year Annual Research Report
In-situリアルタイム観察に基づくGe表面の初期酸化過程とその制御の研究
Project/Area Number |
19686037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
喜多 浩之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (00343145)
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Keywords | 半導体物性 / 表面・界面物性 / 電子・電気材料 / 表面酸化過程 / 絶縁膜 |
Research Abstract |
Geデバイスの形成に必要な低温度域におけるGeO_2薄膜の熱力学的な安定性は, Ge基板とGeO_2膜の界面でGeOを形成する反応が支配することが分かっている。これに関して本研究で以下の知見を得た。 (1)RFスパッタリング法を用いてGe基板上に堆積したGeO_2膜を窒素雰囲気中600℃にてアニールするときの, 膜厚の時間変化を分光エリプソメトリー法により正確に決定することで, 膜厚減少速度が膜厚の逆数に比例しており, 600℃でのGeO脱離現象が膜中の物質移動過程によって律速されることを明確にした。膜中の拡散種はGeOまたはGeが考えられるが, 現時点では区別できない。 (2)GeO_2/Ge界面からのGeO脱離速度には基板面方位による違いがあり, (100)よりも(111)は脱離速度がやく半分となることが分かった。界面でGeOはほぼ熱平衡状態のはずであるが, GeOが生成・消滅する交換速度は(111)が遅いことが考えられる。界面での反応性が低い(111)面の方が界面の制御性に優れると考えられ, これはGeデバイスの面方位選択のための重要な知見である。 (3)窒素雰囲気中で600℃のアニールを行った後のGeO_2膜を用いてMISキャパシタを形成したところ, Ge基板上では激しく劣化したC-V特性が得られる。そこで, GeOの昇華を抑制するためのキャップ層をGeO_2膜の上部へ導入し, Ge基板からのGeO_2膜の脱離を抑制することで, 優れた特性を得ることに成功した。 (4)High-k膜を堆積してHigh-k/GeO_2/Geスタックとすると, High-k材料によってGeOの脱離速度が大きく異なっており, Geとの反応性の高い希土類酸化物を用いると脱離が大幅に抑制できることが分かった。実際, High-k膜としてHfO_2よりもY_2O_3, La_2O_3等の希土類酸化物を用いる方が優れた電気特性を得られる。
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